昔の失敗が忘れられない

「あの時の決断は、間違ってた…」

 数年前の出来事を、まるで昨日のことのように鮮明に思い出し、苦しそうな表情を浮かべる娘。

親として「もう終わったことだよ」と声をかけたくなるけれど、

彼女にとっては、まだ何も終わっていない。

 

こんなことがよくあります。

いまは4年前のこと、よく申します。

その時の自分と今の自分を比べてしまう。

 

そして、なぜあんなことに、、、と。

 

なぜ、彼女はこんなにも過去に囚われてしまうのか。

実はそこには、「気のもちよう」では済まされない、

脳の仕組みが関係していました。

 

【あなたのせいじゃない。

「ネガティブ・バイアス」という脳の罠】

 

ネガティブ・バイアスとも言いますが、

この言葉、私も知ってからそんなに月日が経っていません。

 

人間の脳は、もともと悪いことを記憶しやすい

そして、ASDの脳では、感情を司る「扁桃体」が過敏なため、

このバイアスがより強く働く傾向があることが

わかりました。

 

そう、性格や、考え方ではなく、これも

「脳の特性」なのですね。

 

 

【記憶が「写真」になる?鮮明すぎるディテールの苦しみ】

 

ASDの記憶は、物語としてではなく、

細部がやたらと鮮明な「写真」のように記憶されるんですね。

 

そして、その時の感情もすべて思い出す。

こんなことを言われた、、

こんな天気だった

こんなシチュエーションだった

その時にはこの人がいた

何を着ていた

 

だから、嫌な記憶も色褪せず、

いつまでも生々しいんですね。なんてこと。。。

 

【「忘れる」にも能力がいる。脳の”ゴミ箱機能”の違い】

 

脳には不要な記憶を「忘れる」機能があるそうですが

ASDの脳ではその働きが違う可能性があるらしいと、

読んだことがあります。

 

「忘れられない」のは、意志が弱いからではなく、

「脳のゴミ箱機能が、個性的」

 

でもその個性的なところが

辛いところです。

しっかりと映像化しておぼえているだけに

それを観念やアファメーションや、書籍、先人たちの言葉

では書き換えるのが難しいのです。

 

 

「昔は書き変わらない、だから未来をかんがえよう」

なんて言葉が、時にどれだけ無力で、本人を追い詰めるか。

 

 私たちがまずできることは、

その苦しみが「脳の仕組み」から来ていると理解し、

「忘れられなくて、辛いね」と、

ただ寄り添うことなのかもしれません。

 

【でも、それ、、親には難しい、、】

 

より楽しい生活を送ってほしいといつも思っています。

もっと楽に生きていけたらなと願っています

ですから、「そんなちいさなこと、、」とか

「そんなむかしのこと」

と思えることは、ゴミ箱に捨てて前を向いてほしいと

いつも思うのです。

 

でも本人たちにとっては

あのとき、あの人にあんなことを言ってしまった

あの時の決断は失敗だった、

と引きずってしまいます

 

「大丈夫!!」そう言っても、

根拠がないので説得力がありません。

私は、自分が生きてきた経験や年月をふまえて「大丈夫」と

言っているわけですが、

「どうしてわかる?!」と言われても証拠は出せません。

 

そうか、、いやなんだね、

そうか、気になるんだね、、

そうか、、、後悔しちゃうんだね、

 

しか、言うことはできないのか?

先に進む魔法の粉はないのか?と思ってしまう時です。

 

特性がわかっても

改善できない、方法がみつからない

先生方に相談しながら一歩一歩諦めずに進みます。

 

だって、幸せな時間が増えてほしいもの。。。