「きれいにすると、緊張する」——片づけが苦手な娘の理由
今日は、娘と片づけをしていました。
彼女のバッグの置き場所は、いつも決まっています。
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居間に入る手前の廊下の隅。
小さな木製の棚の上です。
その棚の下にはロッカーのような収納があり、
使っていないバッグをしまってあります。
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でも外出から帰ってくると、
外の刺激で疲れきってしまう彼女にとって、
そこにしまうのはもうエネルギーが残っていない。
“棚の上に置く”のが精一杯なのです。
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出かける前、彼女はその棚の前で準備をします。
バッグを変えるたびに、
「これは今日はいらない」「これは持っていこう」
そう言いながら、中身を出したり入れたり。
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そのうち棚の上には、折りたたみ傘、書類、小物——
いろんなものが重なっていきます。
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私は言いました。
「廊下はみんなが通るところだから、もう少しきれいにしてね」
彼女はバッグを丁寧にそろえました。
でも、小物はそのまま。
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「ここも片づけようか」と言うと、
彼女は静かに言いました。
「きれいにしたら、ずっときれいにしておかなきゃならない、、プレッシャーになる」
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……その言葉に、ハッとしました。
片づけが苦手だけでなく、
“きれいを保つ緊張”がつらかったのです。
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彼女にとって“きれい”は安心ではなく、
“維持しなければならない状態”。
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その完璧を求める感覚が、彼女の中で疲労を呼ぶ。
知らなかったなあ。
それじゃあ、片づけが嫌になるわけです。
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理解しているつもりでも、
まだまだ知らないことがある。
ほんとうに“理解ある母”になるのは、
簡単なことではありませんね。