引き続き、本日は統合失調症治療におけるLAI(持効性注射製剤)について、メリット、デメリットを挙げたいと思う。
メリット
・日々の服薬というプレッシャーのようなものから解放される。
・自己管理できるものが増え、自信につながる。
・内服したかどうかを確認されるストレスから解放される。
・飲み忘れがないため症状の波が抑えられ安定する。
・再燃・再発するリスクが下がる。
・飲み忘れの心配がなくなるため、服薬のことを気にせず気軽に旅行に行くことやシフトワークの仕事に就くこともできる。
・薬の体内の濃度が安定するため薬が効きすぎる時間帯、効かなすぎる時間帯がなくなり、副作用軽減にも効果が期待できる。
・支援する周囲の人にとっても、毎回服薬を確認する必要がなくなり負担が減る。
・内服など肝臓で行われる薬の代謝は個人差があるが、筋肉注射により肝臓を通らず代謝経路に入るので個人差が少ない。
・他に内服薬がなければ、帰りに薬局に寄らずに帰ることが可能になる。
デメリット
・針を刺すため、痛みを感じる。
・体に合わない成分の場合、副作用が長く続いてしまう。(事前に同成分の内服剤で副作用がでないことをしっかり確認すれば問題なし。)
・内服に比べ薬価が高い。
・ごく稀にしこりができる場合がある。(薬剤の内容や針によって頻度やしこりの持続期間が変わるともいわれている。)
・厚着をしていた場合、注射部位を露出するのが面倒。
・内服を1ヶ月よりも長期処方されていた場合は、4週間に1度の受診という頻度が負担になる。
・他の科を受診した際、お薬手帳などに注射が載っていないためわかりやすく内容を伝える手段が少ない。(医療機関にもよるが、注射の内容を記載するところもある。)
人によって何を重視するかは様々であるため、上記のようなメリット・デメリットを十分説明したうえで、最終的にご本人が選択することが重要である。
治療継続によって再燃・再発をさせないことももちろん大事だが、あくまで本来の目標は
その人がその人らしい生活を送るため
なのだから。