大下英治『小泉純一郎の宣戦布告』徳間文庫
政治ノンフィクション。2001年刊。
「加藤の乱」から始まり、当時の「小泉現象」を疑似体験できる。
鈴木宗男氏が失脚した要因は、対露外交についての路線闘争、というだけでなく、主流派として長く振る舞ってきた橋本派への怨念という側面も強そうだ、という印象を持った。
最近の自民党総裁有力候補だった高市早苗氏の視点もけっこう取り入れられている。有力な情報源の1人だったのだろう。
ユミ・スタインズ、メリッサ・カン『こんにちは! 生理』集英社
図書館本。北原みのりさんを検索していてヒット。
「大人たるもの問題意識を持ち、広く社会に目を向け精力的に学んでいかねば」「科学的・医学的な性知識を持ちたい」という動機から読み始めた。
生理が始まったばかりのティーンエイジャーが、自分の体を肯定できるようにポジティブに書かれている、生理のガイドブック。
保健の教科書の延長程度の知識しかなかったので、少し視野が広がった。
ちなみに私は、「アライさん」=Ally(味方)の意味をこの本で初めて知った。
佐藤優『亡命者の古書店―続・私のイギリス物語―』新潮文庫
『プラハの憂鬱』を文庫化する際に改題。『紳士協定』の続編。
外務省に入省しイギリス軍の語学学校での研修時代を回想。
チェコスロバキアからイギリスに亡命してきた、元BBCアナウンサーの古書店店主を主要登場人物に、亡命ロシア人、ネイティブアメリカンの女性など、「マージナルな」人たちの視点を通じてイギリス社会を描いている。
佐藤さんも沖縄と日本の間で「複合アイデンティティ」を持っているからか、かなり力が入っている作品。北原みのりさんの解説も良い。