私のニューアルバム「革命家の休暇」のライナーノーツを書いてくれた

音楽評論家の鳥井賀句さんが、先日のレコ発ライブのレポートを、

フェイスブックに書いてくれたので、転載します。

 

 赤心の歌歌い……うれしかった。賀句さん、ありがとう!

 


4月6日 21:50 · 
6APRIL
Raby Hasunuma Oneman Live @BillysBar Simoigusa
蓮沼ラビィ『革命家の休暇』レコ発ライブ


蓮沼ラビィ(vo,g ),小林薫(vo,g),金永柱(sax),坂本達雄(janbe)

「彼女は時に語りかけるように、時に吠えるように体を揺さぶりながら歌う。

その歌に感じるのは彼女の本気さと魂の波動だ。……その心の底からの

歌が聴くものを黙らせ、感動させ、圧倒する」

「作為や自意識が透けて見える歌が多い中、彼女の歌はいつも

一糸まとわぬ裸で勝負してくる。その潔さが、蓮沼ラビィの大きな魅力である」
蓮沼ラビィ『革命家の休暇』ライナーノーツ by 鳥井賀句 より

蓮沼ラビィさんのニューアルバム『革命家の休暇』のライナーノーツを

頼まれて書いたので、レコ発ライブに招待された。

一部が彼女の弾き語りで約1時間歌い、二部ではサックスの金永柱、

ジャンベの坂本達雄と何曲かやったが、途中ラビィさんが弦を切って

張り替える間に金くんが吹いたフリージャズ風のサックスソロが凄く

良かった。ハートが感じられるプレイなのだ。彼のソロも聴いてみたい。

 

 

その後はCDに参加した小林薫くんがコーラスとギターで加わり2曲やった。

二人は空と蓮というユニットを組むそうだ。


約2時間彼女の歌を聴いて思ったのは、彼女の歌の力だ。歌唱力云々では

なく、自分の歌を伝えようとする情念と情熱の半端のなさがやはりすごい。 

歌としての完成度よりも、その赤心の歌を聴くと、つまらないことにケチを

つけたり、批評したりする気がなくなってしまう。

 

 



彼女の歌うラブソングに(あんたのお骨は墓には入れないよ、あたしがベッドで

抱えて眠るから)というのがある。凄い歌だ。どんなきれいごとのラブソングよりも、

こんなことを女に言われたら、少なくても俺はビビッてしまうだろう(笑)

深作欣二監督、渡哲也主演のヤクザ映画『仁義の墓場』で、主人公のジャブ中の

ヤクザの渡哲也が、金を出し渋る頭の梅宮辰夫に、妻の香典をくれと、骨壺から

妻の骨を取り出してボリボリとかじるシーンがあったが、さすがの梅宮もそれを見て

ビビッて、金を出したのだった(笑)なんかそんな凄さがラビィの歌にはある。

加えて彼女には作為ややらしさのようなものが感じられないことだ。勿論歌の

作者としての言葉の選択や主題の立てかたには表現者としての作為はあるだろう。

だがこの程度に無難に押さえておこうとか、こっちのほうがお洒落で聞きやすい、

とか、つまらないプロ根性を越える赤裸々な一途さが彼女の個性であり、

アイデンティティーであるのだと思う。

こんなシンガーソングライターは滅多にいない。美辞麗句の愛の囁きよりも、

あんたの骨を抱いて寝ると言われる衝撃。蓮沼ラビィを俺が評価するのは、

彼女が赤心の歌歌いであるからだ。

 

(文・写真: 鳥井賀句)