「ポーカー・フェイス」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

相手のウソを見抜く能力がある女性チャーリーが友人の死の真相を探っていく果てに恩人の怒りを買って追われる運命となるロードムービー形式のミステリードラマ。全10話。U-NEXTにて配信中。

 

各話チャーリーが訪れる町で遭遇する事件は、冒頭から犯人が視聴者に明らかにした上でチャーリーが追及していく「刑事コロンボ」同様倒叙ミステリーであり、各話出だしのテロップもコロンボのオマージュましましで幕を開ける。様々な映画やドラマの引用を台詞などで散りばめた作り手の熱量にもグッとくる。企画・脚本・監督をこなすライアン・ジョンソンの功績であろう。

 

チャーリー役のナターシャ・リオンのハスキーボイスが印象深く、名文句 "ボーシット(嘘だね!)" がいつ出てくるか楽しみになる。美脚を意識したサービスもあったりするエピソード毎の衣装変化も連続ドラマの魅力として外せない。こうゆうツボの押さえ方がニクい。

 

第一話のつかみは良かったけど、以降のエピソード毎の終盤における犯人の追い込みが甘くなるので物足りなさを感じてしまう。もっと、ぐうの音も出ない犯人の姿が見たい、そのオチが倒叙ミステリーの魅力であろう。視聴者もそこは見逃していた!ヤラレター!と仰け反りたい。ううむ完全犯罪は成立しない、神様はちゃんと見てるよ、と因果応報を野次馬根性で見物したい。なるほどタチが悪いのは視聴者かもしれない。

 

事件は加害者と被害者の感情のもつれから命を奪ってしまう悲運を迎える。もちろん罪を犯せば償わなければならない。しかし加害者はバレたくない隠したい。だから嘘をつく、ついてしまう。その心理はよく判る。なんとか逃げ切りたい、その浅はかさをいとも容易く見破るチャーリーは神なのか否か、世間は訝しむ。それは誰しもが嘘をつくことを否定しない心の弱さの表れなのだろう。この "心の弱さ" にドラマがある。ど直球でこのテーマへと刺さりこむの手法こそチャーリーの魅力であろう。

 

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