「スティルウォーター」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

シングルファーザーの主人公・ビル(マット・デイモン)はフランスに渡航する。フランス留学中の娘アリソンがルームメイトを殺害した罪で収監されており、無実を訴える娘のために新たな証拠を探そうと懸命に奔走する。しかし異国の地ではその調査もままならない、娘は無事に釈放されるのか…2021年製作。Netflixにて配信中。

 

タイトルの「スティルウォーター」に幾層にも重なった意味が浮かび上がってくる脚本が巧い。人は正義感へ向かってもどこかでつまずいてしまう。その正義も他者から見れば、横暴な振る舞いに映ってしまう。愛と憎は決して相反する感情ではなく、生活の営みとして共存する。ゆえに "人が分断" するのは、自他共に理解しようとしない愚行であり、人は皆、寛容という宗教に頼らなくても持ち得る優しさが根底にある。そこに気づくか否か、ビルは己に瑕疵があるとはいえ憤り、故郷スティルウォーターの風景を通して何もかも以前には戻らない無常を感じ取る。

 

真実は正しいものとは限らない、過ちが露呈して悩む場合が多い。"真実を知る" ではなく、"都合良く事実を改変してしまおう" に陥りやすい。都合悪いものは隠したいし、こっそりとすり替えちゃおう、と考えてしまう。人の心は弱くて狡い、都合に任せて "正義" は自身の "心の平穏" へと変容してしまう。終盤アリソンは父親のビルに秘密を話す。それが真実であり、娘の過ちである。作為的ではないが、背信に苦悩する娘、そして父親も自身の背信に通じていく。しかし親子を繋ぎ止めるスティルウォーターの街並みは人の都合など関係なく存在する。そこに佇むふたりの姿は心に残る終幕であろう。

 

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