「ドクター・ストレンジ」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

 

天才外科医のストレンジはある日交通事故で商売道具の両手に大怪我をする。復帰は絶望とされた現実に悲観するもあらゆる治療を模索する彼は、奇跡的な回復を遂げる手段としてネパールのカトマンズへと向かいエンシェント・ワンという魔術使いに懇願する。過酷な修業のもとで手の回復と人知を超えた力を得たストレンジはしだいに魔術使いの争いに巻き込まれていく。

 

この作品では「諸行無常」「色即是空」という仏教思想がふんだんに取り入れられている。そしてサイケ、プログレ好きな人は選曲・編曲(まさかの Pink Floyd "Interstellar Overdrive" そしてエンディング曲)に思わずニンマリするヒッピー文化が折り重なった演出が楽しい。主人公ストレンジの師匠となるエンシェント・ワンの挙動が一つひとつカッコイイ。(演じるティルダ・スウィントンが最高)冒頭の格闘シーンでこの世界観にドップリのめり込んでしまう。

 

師匠が瀕死の状況において西洋医療に頼って病院に駆け込むのは「そっちかい!魔術使わんのかい!」と思わず突っ込みたくなるユーモアセンスが好きだ。魔術版どこでもドアという視覚道具も必須アイテムとして活躍する。これぞ映画だと豪語するかの如く視覚を刺激する物語だが後半になるとやたら説明的台詞に頼りがちなのが少々残念。黒幕となるラスボスもそんなに賢くない印象だったし、悪い意味で"お子様映画"の様相へと変貌する。

 

クライマックスの頓智も悪くはないが、せっかくなんだから仏教思想を入れてよ、"破壊=物質文明の否定" を精神世界へと導く術として説得力ある映像を期待していたのだが、観念にとらわれるなという作品の世界観が十分に生かされていない。それになぜ浪花節要素をいれてこないのか、やはりここは主人公の未熟さから事が及んで師匠が絶命、これは俺(主人公)のせいだ、取り返しのつかぬ事をしてしまった、チッキショー!( not 小梅太夫)という初期ジャッキー映画などに見受けられる展開を組み入れるべき。これが良い意味で "ヒーロー映画" へと昇華されていく。ロンドン、ニューヨーク、香港を陥落させたら世界征服なんてゲーム的要素をみせられてもなぁ、もっと次元が高い物語じゃなかったの。

 

ラストシーンもなんだか締まらない、ポタポタ水滴が落ちる蛇口のようでどうにかならんのかとボヤきたくなる。とかく前半が良かったんだよ、ワクワクしたんだよ、それだけに苦言がでてしまうんだよ、しかしこれは大きなスクリーンで観て欲しい。でないとこの世界観は伝わらない。体感すべき映画。本編映像を観るともったいないので参考サイケ映像をお届けします。こんな世界観です。高樹◯耶も好きなはずです、きっと。

 

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