「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」 | やっぱり映画が好き

やっぱり映画が好き

正統派ではない映画論。
しかし邪道ではなく異端でもない。

【ネタバレ】あります。すみません、気を付けてください。

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ


「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八のデビュー作をDVD鑑賞。

両親の突然の交通事故死によって、
真夏の北陸山間部の田舎に戻ってくる主人公は
「私は他の人とは違う特別な存在」と勘違いしている
自意識過剰の女優志望ヒロイン。
帰ってくるなり、焼香もせずに身内に仕送りをねだる
仕事無し、才能無し、同情無しの性悪女。

その横暴を黙認する腹違いの兄。肉体関係のないその妻。

ヒロインのいじめに遭いながらも、その屈折した生活を題材に
ホラー漫画を書き続ける妹。

救われない家族を題材にするが、救われない展開にもうひとつ感が残る。
両親の死によって、若者のみが残された一家にはモラルが壊滅する。
道徳と不道徳、常識と非常識、その振り幅が消滅したので、
ブラックな笑いが成立に一歩届かない。
緊張と緩和、と言ったのは桂枝雀だが、それはここでも当てはまる。

ヘンな人達がヘンな事をやってる、それだけでは面白くない。
マトモな言動が不在なまま、物事がすべり落ちている。

しかるに舞台となる田舎町、
交通手段、コミュニケーション、文明から隔離された空間が
決して観客から共感できないヒロインに迫る疎外感によって
後戻りできない狂気に走らせる事により
更なる高揚へとつなげるラストを結実できたと感じる…惜しい。

主人公の佐藤江梨子、彼女のスタイルの良さがピタッと役にハマり好印象。
もっと狂えば、傑作になる。カッターナイフの「カチカチ」音が
恐怖から笑いに転化するのは、そこなんです。

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