■2003/08/28 Thu  



 昨夜の神戸はくもりで、大接近の火星は残念ながら見えませんでした。今夜も無理みたいですね。
 火星の大接近がニュースになるのは、いろいろな意味で大いに結構なことですが、マスコミが6万年ぶりと強調するのは、へそ曲がりの身としては、不動産の誇大広告とよく似たものだと、いちゃもんを付けたくなります。TIME誌は、今回、火星は5570万キロに接近するが、これは火星との平均距離8050万キロより30パーセントも近いなどと書いていますが、2年前の接近が何キロだったか分かっているのでしょうか。やっぱり30パーセントも近かったはずです。
 そもそも最接近の距離が年によってずれるのは、火星(および地球)が円軌道ではなく楕円軌道を描いているからです。それでは、火星の軌道はどれくらい円軌道からはずれているのかといえば、コンパスで直径10センチの円を描いたときに、その鉛筆で描かれた線の幅以内で収まってしまうのです(地球は、もっと円に近い)。6万年ぶりだろうが何だろうが、火星が接近するときの距離は、いつでも似たりよったりということです。
 余談ながら、望遠鏡もない時代に、そんな火星の軌道のわずかなずれから、惑星は楕円軌道を描くと洞察したケプラーという人は、今更ではありますが、大天才であったのだなぁと感心します。
 どう考えても、昔の人の方が賢かったのではないでしょうか。