地球温暖化を阻止する方法として、宇宙空間に太陽光を遮る「日傘」のようなものを打ち上げるというアイデアがあるそうだ。しかし、こういうアイデアは(SFとしては面白いが)問題をはき違えているように思う。
温暖化、温暖化とばかり言うから、地球の気温が上昇することがいけないことのように錯覚してしまうが、地球の気温は過去何億年も遡れば、いまよりもっともっと暑い時期もあり、そして、そのときでも生命は別に困っていなかった。
問題は、温暖化の「速度」である。地球の平均気温が5℃上がるとしても、それが100万年をかけて起こることなら大して問題ではない。生態系は100万年の間に適応していくからである。それがたった100年程度で起こる。カタストロフである。それこそが問題なのだ。
地球に「日傘」をかける行為は、一刻も早く地球の気温を下げようという逆カタストロフである。そんなことをしたら、どんな異常気象が起こるか測り知れないであろう。理性と良識のある科学者なら、そんなことは言うまでもなく、承知のこととは思うけれど。