8月5日、3年半にもわたる川越CLEAR'Sのアイドル活動を続けた「羽風有紗」の卒業ライブが、鶴ヶ島ハレで行われた。
お披露目ライブもこの鶴ヶ島で行ったとのことで、羽風にとっては感慨深かったように思う。
CLEAR'Sの中でも、長きにわたって活躍してきたメンバーであったからか、多くのファンが詰めかけ、惜別のライブを見守った。
事前に28曲を披露すると聞いていたので、まずそのボリュームに驚かされたが、終わってみるとあっという間に感じた。それだけメンバー、ファンが集中していたこともあるが、班長
「伊織あい」が、卒業ライブの告知に際して、「一生会えないんだから」と煽っていたことが、やはり最後のライブは噛みしめて見てみたいというのが、私の率直な気持ちだったのだ。
卒業ライブの中盤から終盤にさしかかる頃に卒業式を行い、伊織が送辞を読めないほど、涙であふれた。送辞での感謝の言葉を聞くと、ダンスと歌が上手な羽風に対して、一目置いていたことがわかった。この二人は、アイドルに対する考え方に違いこそあれ(アイドルにこだわるか、ひとつのツールとしての選択肢にすぎないか)、羽風は長きにわたってダンスやMCを含めて班長を支えた。つい、ポジティブのかたまりのような伊織が羽風卒業後の不安を口にするほど、それだけ大きな存在だったことの証左である。
羽風は、涙で感謝の気持ちを表した伊織や瀬戸りなさんに対して、答辞で感極まったように見えたが、それでも冷静に「らしさ」を最後まで貫いた。「涙は最高の感情表現ではない」と言い切れるあたり、センスのかたまりに見えた羽風の、実は己を律する芯の強さを持っていることを垣間見た瞬間だった。
卒業するメンバーには明るく送り出してあげたいところだが、そんな気持ちになったファンはいないのではないか。「もっと見たかった」というのが、率直な感想である。
別のステージで羽風は、卒業後は絵を描いたりして自分を見つめ直したい主旨の言葉を述べたが、卒業ライブでは歌を続けたいとした。私は卒業ライブの言葉が率直な気持ちなのだと思う。
それはなぜか。アイドルは誰でもいつか終わりがあり、意に反してもステージを降りなければならないが、「歌いたい気持ちは閉じ込めることができない」からだ。羽風はシンガーソングライターとしての才覚もあることから、卒業後でも川越CLEAR'Sのゲストでステージに立ってくれそうな期待がある。
よって、伊織が言った「一生会えない」は偽りだろうと結論づけたい。