すい臓がんと言っても様々で、私の場合は、すい臓の主管から枝分かれした分岐管の更にその先端に2cm弱のポリープが見つかったものの当初は「がん」かどうかは判定できないものでした。いわゆる内臓再建手術を行ったのですが、見つかったポリープが十二指腸に近いこともあり、十二指腸と胆嚢を全摘、小腸と胆管を結合、胃を切除して小腸と結合するという大手術になるわけです。「まず手術適応になるのが3割程度、手術成功の確率は9割程度、その後の5年生存率は、40から50%で転移の可能性もあります。元気にゴルフができる様になるかどうかはわかりません。」という事前の説明には、思わず妻と顔を見合わせました。

 

 その手術から2年、悪夢が訪れます。以前にも書いた通り、肺に1cm程度の綺麗な円形の白い斑点が見つかったのです。この時の説明は、今でもはっきりと覚えていますが、すい臓がんの転移の場合は、平均余命半年、早ければ3ヶ月という命ということでした。

 

 しかし、この頃体調は良く、妻も「本当に転移してるのかな」などと励ましてはくれていましたが、セカンドオピニオンも考えたらと、本郷の方の病院に行くことも考えていたようです。

 

 一方、事業は好調に推移していて、「あの世にはお金を持っていけないなあ」とおもいつつも、「やれることはやったのだからあとは天に身を任せよう」そう思って、2ヶ月後の再検査や入院しての病変の採取の準備をしていました。

 

 精密検査の結果、転移が疑われた白い斑点は消えていたのですが、最悪半年の命、その間何をすべきか考えた末、これまで長年やってきて「パリ百万歩写真展」を開催した「写真」と50年以上続けて生きた「ゴルフ」ともう一度初心に戻って向き合うことにしました。そして、写真はcanon R5を手にして有名な写真家の教室に通い、ゴルフは、更なる高みのレベルⅣを目指してクラブを総入れ替えし、ツアープロのレッスンを受けてスイングの全面的な改造に取り組みました。また、ブログの再開など、私と同じような境遇の人達に少しでも役に立てればと思い、残り半年を悔いのないように過ごそうと日々考えていました。

 

 転移の疑いがなくなった後、「写真」と「ゴルフ」はこれまで以上にやるぞという勢いがついてきました。しかし、その頃から合併症で発熱することが多くなり、今度は体力の衰えとの闘いが始まりました。

 

 次の転機は「コロナ明け」となります。今朝は体調もよく、昨日作成した懸案の「企画書」の反応を事務所で待ちながら、次の写真展の企画を考える予定です。

 

 今日の一枚は、昨日の事務所からの帰り、冷たい雨が降る超高層ビル群の谷間の写真です。

 

 

《続く》