タワーマンションの維持管理 #002 事業者との付き合い方 | すい臓がんサバイバーhassiの日記

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2023年1月から9年ぶりに再開しました。2019年9月2日にすい臓がんの手術をしてからの闘いは今も続いています。

 建物引き渡し後は管理会社が決めた管理会社が、実際の維持管理業務を管理組合から委託された形で始まります。竣工後2年間は、瑕疵については無償対応となります。また、10年を過ぎると隠れた瑕疵について事業者の対応義務はなくなります。ただし、タイルの路上への落下の可能性など、命にかかわるような重大な瑕疵については、20年という期限がります。

 

 建物は事業者が建物の企画をして設計者と一体なって設計図をまとめ、施工者を決め、工事、竣工という手順を踏むのはご承知のこととは思いますが、よくあるのは、管理の対応が悪いから「管理者を替えろ」、設計がおかしい、「設計者を出せ」、施工不良が見つかった「すぐに直せ」をいうような意見が管理組合の理事会で話が出るようになってくることです。

 

 タワーマンションの事業者は一般的に大手不動産会社で、施工会社もスーパーゼネコンというあることが多く、はた目には素晴らしいプロジェクトに見えます。

 

 そのような期待を裏切るかのような様々な不具合の出るのがタワーマンションです。高度に品質管理された車でも様々な不具合が起こりますが、最近の家電製品などでは、傷一つなく、何年も不具合がないとう製品が多く、タワーマンションにもそのような高度な品質管理を求める傾向があります。しかし、現場で組み上げる一品生産で、1000戸もあるような建物を完璧に施工することはほぼ不可能といっても過言ではありません。

 

 ある程度は時間をかけて竣工後に修正していくということで、建物のことを最もよく知る「事業者」「設計者」「施工者」と建物を良くしていくという姿勢で、常に話し合いができる環境づくりが求められます。

 

 そこを高踏的に「事業者は何やってんだ」などという姿勢を見せると、言われたとおりに直すだけで、「事業者」「設計者」「施工者」の持つ様々なノウハウをみすみす引き出せずに、挙句の果ては、素人集団の理事会で修繕工事を始めてしまい、資産価値を大きく逸損することにつながりかねません。

 

 あえて素人集団という言葉を使いましたが、一級建築士やマンション管理士など様々な資格を有する「自称専門家」はいますが、タワーマンションの管理の構造の知識からはじまり、設備、管理、運営まで幅広い知識と経験が必要になります。管理会社もタワーマンションの構造のことまで熟知している技術者はいないと思っていいでしょう。一般的に一級建築士もタワーマンションの維持管理についていえば、大半が「素人」です。

 

 そのような中で、「設計者」設計図に至るまでの検討や様々な事例検討など設計に関しての膨大なノウハウを有しています。管理組合の役割は、そのようなノウハウを引き出し、よりよい建築にしようという空気を醸成し、「事業者」との良好な関係を保っていくことが重要です。

 

 大規模修繕なども建物を建設した「施工者」(「元施工者」)から別の施工者に替えた場合などは、特に要注意で、以後の不具合に対しては、「うちではありません」など、もめ事の原因ともなります。

 

 今回は以上ですが、できる限りもともとの「事業者」「設計者」「施工者」と長く良好な関係を築くことが、建物良好な維持管理に大きく貢献するのが、大規模なタワーマンションの維持管理のポイントの一つです。

 

《続く》