四季の原点 | 端っこの気持ち

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東京の端っこに住む劇団四季と酒をこよなく愛する頑固者が書くいつまで続くかわからん日記…のようなもの

って事で、『アルデールまたは聖女』を観てきた。演劇


今から55年前の今日、この作品で旗揚げをした劇団四季の原点とも言える作品を55年後の今日観る事ができたのは何とも嬉しい限りです。この作品のチケットチケット、初日に観に行こうと意気込んで買ったわけではないんです。今日しか観に行く日がなかったというだけなんです。たまたま初日だったというだけなんです。




ちなみに今日のキャストです。




将軍 志村要


将軍夫人 斉藤昭子


伯爵(将軍の義弟) 味方隆司


伯爵夫人(将軍の妹) 野村玲子


男爵(伯爵夫人の恋人) 栗原英雄


ニコラ(将軍の次男) 田邊真也 


ナタリー(将軍の長男の妻) 木村花代


アダ(女中・将軍の情婦) 団こと葉


アルデールの恋人 高橋 征郎(劇団民藝)




と、『アルデールまたは聖女』というタイトルなのにタイトルロールであるアルデールは舞台に一切登場しません。そしてダブルキャストが当たり前の四季にとっては珍しく全部シングルキャストです。






では、気になるキャストの感想を。




将軍(名前をレオンという)を演じた志村要さん。


ブラックコメディ』では「大佐」を演じてましたが、今回は「将軍」に格上げ(はてなマーク)です。将軍らしい威厳というか風格が出てたと思います。この将軍、おもいっきりスケベです。エロです。アダの体を撫で回したりする時の顔とか手つきとかがスケベです。そんな将軍を楽しそうに演じてたと思います。伯爵と女性の話をする時の表情は完全に「スケベ親父」になってます。笑わせてもらいました。スケベな親父でもしっかり上流階級の地位を守るというかスキャンダルを恐れてるという感じも上手く出ていたと思います。ホントに面白い将軍でした。




将軍夫人(名前をアメリーという)を演じた斉藤昭子さん。


キャスト表に2番目に表記されている割には舞台には殆ど出てきません。1幕、2幕では自分の部屋から15分おきに「レオンビックリマークレオンビックリマーク」と叫ぶだけ。舞台に出てきたのは3幕最後の方。殆ど声だけの出演なんだけど、嫉妬に狂った女性を丁寧に演じてたと思います。それにしても、斉藤さんのようなベテランを声だけの出演に使うだなんて、結構贅沢な感じがしますなぁ。




伯爵(名前をガストンという)を演じた味方隆司さん。


皮肉屋というか理屈っぽい伯爵を丁寧に演じてたと思います。結構長台詞もあるのですが全然噛んだりとちったりする事もなくお見事です。味方さんってホントに演技が上手いですね。どんな役でも自分のモノにするというか、自分を消す事ができる方なんだなぁと改めて思いました。実に器用な方です。




伯爵夫人(名前をリリアーヌという)を演じた野村玲子さん。


上流階級育ちの我儘で自分自身が一番大切という感じの伯爵夫人を見事に演じてたと思います。男爵という夫公認の愛人がいながら、夫の愛人に嫉妬してる女心もチラリと見せてくれました。声の強弱や高低などを使って感情を出すのはやっぱり上手いですね。アヌイの芝居に良く出演している野村さん。また一つアヌイ作品での持ち役を増やした感じです。この伯爵夫人って何というか基本的に「上から目線」なんだよねぇ。どことなく姉であるアルデールや兄である将軍、夫である伯爵や恋人である男爵達を小馬鹿にしている感じが野村さんの演技から伝わってきました。




男爵(名前をヴィラルデューという)を演じた栗原英雄さん。


男爵というこの役、面白いです。コメディーリリーフ的な感じの役回りです。そんな男爵をコミカルに演じてます。多分、今日の芝居で一番笑ったかもしれない栗原さんの男爵。セリフが無くても表情や仕草だけで充分に笑えました。栗原さんもどんな役でも自分を消して役そのものになってますね。味方さんと同様に器用な方ですね。




ニコラを演じた田邊真也さん。


田邊さんも1幕終り近くまで登場しません。1幕最後の方で『サンダーバード』の隊員か、何処かのホテルホテルのドアマンというかベルボーイみたいな衣装で登場するので、その姿を観ただけでちょっと笑えた。士官学校に行っているという設定なんでそんな衣装なんだろうけど…。このニコラ、マジメというか純粋というか面白みの無い感じがします。そんな面白みの無い男を丁寧に演じてると思います。長男の嫁であるナタリーに恋焦がれてるという気持ちは伝わってきました。ナタリーを演じた花ちゃんに膝枕をされてる場面ではほんの少しだけど嫉妬してる俺がいました。いいなぁ、羨ましいなぁ…。




ナタリーを演じた木村花代さん。


たしかストレートプレイに初挑戦なんですよねぇ。初挑戦のストレートプレイで初日という事もあって緊張してたと思うのですが、それが逆に初々しさがあって清楚な若妻らしかったと思います。長男の妻という事なんだけど、その長男はベトナムに出掛けていて留守という設定です。花ちゃんのナタリーも良かったです。最初の頃は初心な女性なんだけど、最後の方では凛とした大人の女性という感じになって演技にメリハリがあったような気がします。ナタリーも長男よりも次男のニコラの方を愛しているんだけど、そのニコラに対する愛情が観ている俺にも伝わってきました。花ちゃんにはミュージカルだけじゃなく、ストレートプレイにもどんどん挑戦してほしいですね。




アダを演じた団こと葉さん。


団さんもストレートプレイは初挑戦かなはてなマーク色っぽいというか艶っぽいというかエロっぽい女中さんです。なんというかあのメイド服はひょっとしてコスプレでもしてるんですかはてなマークというくらいエロいです。そして蓮っ葉な女中さんです。出演するシーンはそんなに無いんだけど、存在感はありましたね。




アルデールの恋人を演じた高橋征郎さん。


高橋さんの演じたこの役も最後の方まで出てきません。出てきてもすぐに消えてしまいます。『ブラックコメディ』の最後に出てくるバンベルガーよりも出演している時間は短いです。しかも一言もセリフがありません。正直言って、この役は別に高橋さんじゃなくても良いのでははてなマークと思ってしまいました。






さて、今日は初日という事で自由劇場のエントランスというか出入り口の辺りに四季の人達がズラリと並んでいてお出迎えしたり終演後にはお見送りをしたりとちょっとセレブになった気分でした。そして、やはり初日だからか関係者や招待客が多かった。浅利慶太さんはもちろん日下武史さんや木村不時子さん、渋谷智也さんや金森勝さん等が観に来てました。客席に入る時に金森さんが客席入り口に立っていたので握手してもらおうかと思ったんだけど、勇気が出ないで結局握手はせず…。でも、私服姿の金森さんは素敵でした。ヒゲを蓄えていたのできっとユダの準備でもしているのでしょう(tenumiさん、良かったですね)。






そうそう、今日劇場で「昭和三部作」のDVDBOXを買いました。先週『55ステップス』を観に行った時に買い忘れてたので、今日買いました。特典ディスクは嬉しいんだけど、もう一つのオマケは微妙ですな…。