山神信仰というのは、いくつか種類がありますので、個別に紹介したいと思います。

4)神霊がいるとされるご神体への信仰

 現在は、神社には「社(やしろ)」という建物があります。本殿と拝殿です。

 本殿は神様がいらっしゃるところ、拝殿は神様へのお祀りをするところです。

 しかし、一番古い神社には、「お社」はなく、

 神木(神籬(ひもろぎ))、

 岩(磐座(いわくら))、
 山(神奈備山(かんなび))

 太陽(日)

がご神体だったと考えられています(現在でも、それらが信仰されています)。

 古代のお祀りの仕方は、その都度、これらのご神体に、神や御霊が宿る、もしくは降臨すると考えられていました。そのため、お祭りごとに祭壇をつくり、終われば撤去するというやり方をしていたようです。
 徐々に「社」が建てられるようになり、「神様が、本殿に常にいらっしゃる」と考えられるように変化していきます。社のなかにもご神体があり、そこに宿るとされます(鏡、剣など)。


 仏教では、本尊(仏様)を、公開していますが(何年か毎に「秘仏を公開」とするケースもありますね)、神道では基本的に、ご神体は公開しません(ご神体を見た人間は、亡くなってしまう伝承が多々あります)。

 神木は、御柱で有名な長野県の諏訪大社、静岡県の富士山本宮浅間大社の山宮などで見られます。

 岩は、和歌山県の神倉神社(熊野速玉大社摂社)のゴトビキ岩が有名です。大きな岩がご神体です。

 太陽は、夏至の日(昼が一番長い)の太陽が一番力が強いと考えられていることから、この夏至の日の太陽が見える位置に社が置かれていたり(もしくは、社内の「鏡」に太陽が反射する)、三重県の二見興玉神社にある夫婦岩のように、境内にあるモニュメントがその役割をする場合があります。夏至の日に夫婦岩の間から、太陽が昇ってきます。



二見興玉神社の夫婦岩

 

 山は、三輪山と大神神社(奈良県)、白山と白山比咩神社、大山と大山阿夫利神社(神奈川)などのように、山そのものがご神体として、信仰されています。
 一般的に、神奈備山は左右相称(シンメトリー)の独立峰が多いです。

 これらの4つの古い形式のご神体は、社が建てられるようになる前からあった神社だと言われています。お社は、説が様々ありますが、西暦800年以降に徐々に広がっていきます。朝廷が定期的にお祭りを行うようになった為、拝殿が必要になったと言われています。

 
 大神神社の神奈備山、三輪山ですが、この三輪山に登る事が出来ます。私も2回ほど登っています。山の中腹と頂上に磐座があり、場の雰囲気が、下界とは全然違います(三輪山中では、写真撮影は出来ません)。昔は、この磐座で祭祀をしていたというのが、実感できます。古代の日本人は、こういう場所を見つける才能があったんでしょうね。

 大神神社の祭神大物主大神は、お姿が蛇だと言われていますが、この三輪山は、遠くから見ると「蛇がとぐろを巻いている姿」に見えるので、「蛇」が連想されたのでは?という説もあります。
 縄文人は、脱皮を繰り返す「蛇」が、不老不死だと考えられていたことから、神様として信仰されるようになったと言われています。そのため、古い形式の神社では特に、蛇をモチーフとしたものが、多々見つかります。しめ縄は、蛇ですよね。
 
 また、富士山や御嶽山、浅間山、阿蘇山など、昔活火山で現在落ち着いている山は、山岳信仰の対象になっています。火山の噴火は「神の怒り」ですから、それを鎮める為の信仰がありました。鎮めるということは、神様がすごいパワーを持っているということですから、人間が願いを叶えて欲しいと信仰の対象になりやすいかと思います。
 このような山は、人がなかなか近寄らない、登りにくい、山の形が険しいなどの特徴があり、神様が住む場所と思われてきました。修験道の世界では、行者は、人が近づかない山の中で、神様と向き合いながら修行を行いますので、山岳信仰は、この修験道と密接に関係しています。神道と仏教の習合も、修験道が推進したようなところがあります。

 次回から、各地の神社と祭神名を紹介していきます。