山神信仰というのは、いくつか種類がありますので、個別に紹介したいと思います。

2)火山への信仰
 日本は、火山の国です。世界に存在する、火山の10%が日本にあると言われています。昔から、日本では何処かしらで、火山が噴火しています。

 とはいえ、活火山の分布は、北海道から東北地方、関東地方、九州地方に多く、近畿地方、中国地方、四国地方は空白地域になっています。

 都のあった、奈良や京都の周りは、火山がないのですが、関東や九州で火山が起きると、その被害が都に報告されます(記録に残っています)。

 火山活動は、人間に大きな被害を与えることから、「神様が怒っているのだ!」と考えられてきました。祟りと考える人も居ます。
 
 その怒りを鎮めてもらうために、朝廷が何をしたかというと、
 その山の頂上や麓に神社を作り、神様をお祀りしました。そして定期的に幣帛(贈り物)をおくり、お祭りをするようになります。

 また奈良時代からは、神様に「神階」を授けるようになります。
 この神階とは、人に授けられた位階を、神様にも広げたものです。日本史で「冠位12階」というのを覚えている人も多いと思います(603年聖徳太子が制定)。

 神様に授けられたものが「神階」と呼ばれていて、仕組みは人に対する位階と同じです。文位・武位・品位の3種類があります。
 文位・位階として、人は30階に分かれていますが、神は15階に分かれています(正六位から正一位まで)。品位は、皇族のみに授けられるもので、宇佐神宮は皇祖の霊廟ですので、「1品」の品位が授けられています。

 最初は、神様そのものに神階を授けていましたが、途中から、神社の祭神に神階を授けるようになっていきました。
 同じ神様でも、祀られている神社が異なると、神階が異なるのです。


 例えば分祀すると、本来は同じ神様ですから、神階が同じになりますが、そうなっていません。分祀というのは、本社の祭神を分霊し、他所に勧請し、新たに祠を建ててお祀りするものです。今までの〇〇信仰という形で紹介してきましたが、本源となる神社の方が、勧請された神社よりも、神階が高くなっているようです。
 

 現在は、この神階制度は使われていませんが、神社の由緒書や「のぼり」に書いてあることがあります(稲荷神社に正一位の「のぼり」があるのを見かけたことが、あるかもしれません)

 山形県に鳥海山という山があります。
 この山には、鳥海山大物忌神社(ちょうかいさんおおものいみじんじゃ)があります。

 800年代に、活発な火山活動があり、838年から880年の間に、神階を8回変更され、授けられています(従五位上から、従二位勳三等)。最終的には江戸時代に、正一位勳三等になっています。

 鳥海山が噴火すると、東北に住んでいた「蝦夷(えみし)」が暴動を起すと思われ、都の人達からすると、「警報アラーム」としても役立っていたようです。
 
 噴火する度に、神階を授けるというのは、その当時の朝廷にとってすれば、「最高の災害防止策」だったのです。

 鳥海山以外にも、噴火する度に、「神階」を授けられた神様もいらっしゃいます。
 富士山や阿蘇山、伊豆諸島(大島、新島、三宅島等)、御嶽山などは、そのような対象でした。これは後に、山岳信仰となり、修験道としても発展していきます。

 鳥海山大物忌神社は、頂上に奥宮があり、麓に里宮が2箇所あります(吹浦口ノ宮(ふくら)、蕨岡口ノ宮(わらびおか))。出羽国一ノ宮です。



 里宮(吹浦口ノ宮)の拝殿と本殿

 

 

 祭神は、大物忌神(おおものいみのかみ)

       月山神(月読命)          です。

 国家を守る神、穢れを清める神とされ、倉稲魂命・豊受大神・大忌神・広瀬大忌神(若宇加能神)と同神とされます。伊勢神宮外宮の「豊受大神」ともされています。食物の神様です。

 次回も、この山神信仰の対象となっている神社、祭神名を紹介していきます。