ロック魂《前編》 | メンズビギ マルイシティ横浜店 GM(ゼネラルマネージャー)の極私的ブログ

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お店という所は、
つくづくいろんな方がやって来る。

先日ご来店されたお客様は、
ちょっと近寄り難い雰囲気。
明らかに只者ではない。

頭のてっぺんから爪先まで
完璧なロックファッションで身を固め、
もはやステージ衣裳の域に達している。
しかも年齢不詳の大人の方で
体型もスリムだから、
そのただならぬ存在感は、
周りの者を圧倒しまくっていたのだ。

普通じゃない…
ちょっと怖い感じすらする…

こういう時私は、
普通に接客をしていいものかどうか、
相手の目を見て判断することにしている。
ボウイファンのAさんの時もそうだった。
人の目というものは嘘をつかない。
“話をする時は、よく相手の目を見て”と、
鈴木先生(誰?)によく言われたものだ。

あ、しかし動物の目だけは
じっと見つめてはいけない。

私の妻は子供の頃、
給食で残した“イカめし”を
ランドセルにぶら下げての下校中、
犬に追っかけられたのがトラウマとなり、
今でも犬に遭遇すると怯えるのだ。
遠くで見てる分にはとても可愛いという。

リードに繋がれた散歩中の仔犬でさえ、
なぜか妻の方にだけ近寄り吠えるのである。
それは怯えた目で犬と目を合わせてしまうと、相手は敵意だと勘違いし、
防衛本能をくすぐるからだろう。
しかし本人曰く、それが分かってはいても
近寄るな光線を発し、
どうしても目が離せなくなるそうだ。
ちなみに彼女は、
今でも“イカめし”は食べない…。

さて、話を戻そう。

私は、そのお客様の目を覗こうとしたが、
サングラスのせいで様子が窺えない。

ま、いいか。

“接客はセッションのようなもの”
と考える私は、いつも通りの態度で臨んだ。

最初なかなか口を開かなかったロック氏も、
徐々にポツポツと語り始めたのである。

最近脱毛症で髪も染められないから、
夏向きのハットを探していること。
明日は自分の誕生日だけど、
周りの誰も祝ってくれなさそうだから
自分で何か買おうとしていることなど…。

私は黒のパナマハットをオススメした。
                                   ダウン
とにかくロック氏に
メチャメチャ似合っていたからだ。
それを伝えると、
ロック氏は素直に喜んでくれ、
結局ロック氏はそれを購入されたのである。

天井のスポットライトが
ロック氏の顔に当たった時、
サングラスの奥に穏やかな眼差しが
チラッと見えたのを、
私は見逃さなかった。

この話には続きがある…

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                   「Peter Gabriel」
        “In Your Eyes”
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メンズビギ  マルイシティ横浜店  GMより