今年を振り返って… 第2話 | メンズビギ マルイシティ横浜店 GM(ゼネラルマネージャー)の極私的ブログ

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早速、前回の続きから…


一瞬、何が起こったのか分からなかったが、明らかにお尻全体が濡れている。

何なんだ❗

恐る恐る振り返り、
便器を見たその刹那、
かつて見たこともない恐ろしい光景が
目の前に広がっていたのである。

詰まったのか❗

すでに水が溢れ始め、
徐々に床を濡らしている。

このまま溢れ続けるのかと思うと、
恐怖のあまり悲鳴を上げそうになるのを
必死に堪え、

「落ち着け!オレは男だ!オレは大人だ!…」

と、呪文のように繰り返した。

今、こうして書いてる時でさえ、
その時の恐怖が甦ってくる。

便器の中には、私の体内から出た分身が
嘲笑うかのように躍動している。

いつもより量は少なかったはずなのに、
水の中の分身はなぜか拡大して見える。

私は固唾を飲んで、
事態の成り行きを見守った。

その時、ふと思った。

もしかしたら…

1回の水量は決まっているんじゃないかと。

心なしか、水の勢いも弱まってるようにも見える。

それに気づいた途端、
少し冷静さを取り戻した。

冷静になった途端、自分がまだパンツを降ろしたままであることに気づいた。

チッ!こんな日に 白パン かよ!

まだ予断を許さない状況ではあるが、
取り敢えず濡れたお尻を拭いて、
パンツだけは穿こうと思った。

が、トイレットペーパーというモノは、
濡れると溶けるのだ。

私は、回転器具で遊ぶハムスターのように
激しくトイレットペーパーを引き出した。



暫しの間格闘した後、
やっといつもの澄ましたファッション販売員の姿に戻った。

峠は去った。

さて…

難関はまだある。

どうやってここを脱出しよう、
誰にも見られずに…

幸いドアの外に耳を傾けると、
物音一つしない。

誰もいなさそうである。
この時間帯では奇跡的だ。

今なら脱出できる!

無駄だと頭では分かっていながら、
自分の分身にもう一度トイレットペーパーを被せてから、平静を装いそっとドアを開け外に出た。

ここまでは巧く事を運ぶことができた。

しかし…

次の難関は、この後始末をどうするかだ。

このまま知らない顔して
゛放置゛という言葉が
一瞬頭を過ったが、
さすがに人間として恥ずべき行為である。

日頃からお店のスタッフに、

「お客様のために…」

などと能書きを垂れてるのは、この私だ。

このトイレはお客様も利用するのだ。

しかし、私にはどうすることも出来ない。

近くにいる見知った丸井の社員を
呼ぼうかと思ったが、
それは私の分身を見られるだけでなく
トイレを詰まらせた張本人と
自白するに等しい。

なまじ知らない人に
報告した方がマシだと判断し、
私はお店に戻るや否や、
残っていたスタッフを休憩に出し、
一人っきりになるとすぐに
落とし物や忘れ物を発見した時に
電話する内線で総務を呼び出した。

確かにあそこには、
私の落とし物や忘れ物があるのだ。

「わかりました。すぐに設備担当を手配します!」

いい人で良かった。

私のことを、善良な第一発見者としか思ってなさそうである。

そして念のため、
さっき慌てて穿いた白パンに
惨事の痕跡が残っていないか、
お店の神聖なる姿見で入念にチェックした。

どうやら大丈夫そうだ。

ふうー。

数々の幸運が重なり、一件落着した。


私は結局その日、
スタッフの誰にもこの事を喋らず、
何食わぬ顔で仕事に没頭したのである。

しかし…

翌日以降、私はスタッフに
何か負い目のようなものを感じるようになってきたのだ。

職務中に起こったあんな大惨事を
皆に隠しているからだと、
自分の頭では分かっていた。

日頃からお店のスタッフには、

「お店で起こった事は、皆で共有しよう!」

などと得意気に語ってたのは、この私だ。

モヤモヤしたこの気持ちを払拭するには、
やはりスタッフにこの事を話す以外ない!

と思い始めた矢先、私のブログに
こんな方から読者登録があった。



え⁉ ウソだろっ

なんというタイミングだ…

私は小学生でもうんち漏らしでもないが、
これは天からのメッセージであることだけは確かだ。

その日私は閉店後、
事の顛末をスタッフ達に告解したのである。

それを聞いたスタッフ達は、
ゲラゲラ と腹を抱えて笑った。

人の気も知らないで…。

本気で笑っている人の目というのは、
見れば判る。

「お前ら、笑い過ぎだ❗」

と一喝しながら、
いつの間にか私も釣られて笑っていた。

私の中のモヤモヤも、
いつの間にか霧散していたのである。


後からよく考えてみると、
トイレを詰まらせたのが
私で良かったのかもしれない。

私に当たってなければ、
間違いなく一般のお客様が
被害に合っていたはずだからだ。

そういう意味では、
私はたくさんの人々を救った
゛ヒーロー゛かもしれない。

いやいや…

そんな ゛ヒーロー゛ならいらない…

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「ザ・ストラングラーズ」
゛ノー・モア・ヒーローズ゛


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メンズビギ  マルイシティ横浜店  GMより


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