私が勝手に始めた「◯◯の秋」シリーズでは、食べ物をまだやっていなかった。
゛食欲の秋゛ともよく言うし、
せっかくだから今回は食べ物の話にしよう。
だからと言って、通り一遍な秋の味覚の話をする気はさらさらない。
ボブ・ディランほどではないにしても、
私も自他ともに認める天の邪鬼なのだ。
さて、私には春夏秋冬
一年中大好きな食べ物がある。
それは?
クイズ形式は不評なので、
単刀直入に言おう!
それは 目玉焼き である❗

なぜ? と聞かれても困る。
細かく分析していくと、
1ヶ月ぐらいこの話だけになってしまう。
私が 目玉焼き好き ということは、
一握りの親しい人にしか言ってない。
世の中にこれだけたくさんの美味しい食べ物が氾濫している時代だけに、
よっぽど相手を選ばないと、
憐れみの目で見られる恐れがあるからだ。
勘違いされては困る。
私が育った家庭は、
決して裕福ではないにしても、
父が水産会社に勤めていたおかげで、
食卓にはいつも新鮮なイクラやタラコだけでなく、蟹や海老などの魚介類があったのである。
むしろ、舌の肥えた小生意気な子供であったのだ。
それでも、当時から目玉焼きは私にとって特別な存在だった。
私が小学生の時代は、遠足に持って行く500円以内のおやつの中に
「バナナは含まれますか?」などと
先生に質問するアホが必ずいたが、
私にはどうでもいいことだった。
当時の私にとっての関心事は、お弁当のオカズに目玉焼きはなぜ入れないのか?というその一点だけだったからだ。
玉子焼きや茹で卵ではダメなのだ。
私は卵が好きなのではなく、
目玉焼きが好きなのだ!
この感覚、なかなか他人に理解してもらえないのではないだろうか。
結婚して20年以上になる妻でさえ、
そうかも知れない。
私は仕事を終えて電車に乗る前に、
必ず「帰るコール」(古っ!)をする。
そして電話に出た妻は、その日の晩飯のメニューを伝えてくれるのが習慣となっている。
彼女も仕事で忙しく、
たまに買い物に行けない日だってある。
そんな時「今日目玉焼きでもいい?」と
申し訳なさそうに言うのであるが、
私は「やった❗」と思いがけないプレゼントを貰った子供のように声を上げる。
混雑するJR横浜駅構内で、周りの人が振り向くのを見てハッ!と我に帰るぐらいだ。
私は妻を気遣っているのではく、
心の底から嬉しいだけである。
ところで…
目玉焼きなら何でもいいわけではない。
当然私の中では、調理法や調味料を含め
コダワリや厳格なルールがある。
本来は門外不出であるが、
こんなクダラナイ話をここまで読んで頂いた方々への感謝のしるしに教えよう。
まず、用意する卵はスーパーで売っている1パック200円前後のものが望ましい。
決してブランド卵に手を出さないこと。
ポイントは調理器具である。
油の馴染んだ鉄のフライパンが不可欠だ。

我が家ではフランスのデバイヤーを愛用。
充分に熱したフライパンに油をひき、卵を投入。そのままやや強火で一気に焼く。
途中で水を入れたり蓋をしてはいけない。
白身の縁がコンガリと焼け、
黄身に白い膜がつく直前に火を止める。
余熱で薄い膜がついたら出来上がり。

ハウスのテーブルコショウと味の素を
振りかけ、最後に標準グレードのキッコーマン醤油を適量垂らす。
多少酸化してても気にしない。
できればインダストリアルデザインの
傑作゛キッコーマン醤油卓上瓶゛からが
望ましい。
コダワルところは、コダワリ抜くのだ。

卵も調味料も突出したいいものを使うと、
味のバランスが崩れるのだ。
目玉焼きの奥義は焼き方にある。
そして、その味の魅力は
適度なチープさと野趣にある。
一流ホテルの朝食や洋食屋の名店で出てくる゛お澄まし顔゛の目玉焼きには全く興味はない。
私が食べる時は必ず1個と決めている。
こんな美味しい食べ物、それ以上食べると有り難みが無くなり罰が当たりそうだ。
芳ばしい白身の焦げ、淡白な白身、濃厚な黄身が渾然一体となり口の中で溶け合う。
これほどパーフェクトな食べ物があるだろうか!
人類が生んだ… いや、ニワトリが産んだ偉大な食べ物である。
私がもしインタビューで
゛最後の晩餐は?゛と尋ねられたら、
「目玉焼きと、その横にシャウエッセン」
と即答するはずだ。(そんなインタビューは一生ないと思うが…)
というわけで、
次回はシャウエッセンについて…
ウソです。
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さすがに目玉焼きの曲は知らない…
無理矢理こじつけ、今日はこの一曲!
「ホール&オーツ」の
゛Private Eyes ゛
我が、青春の一曲である。
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メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより
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