記事を書こうと思う。
そう思ったきっかけは、
つい先日ご来店された、あるお客様だ。
仮に B 様としよう。
この B 様は、数ヵ月前にジャケットをお買上げ頂いたのが初めてだ。
見るからにファッションレベルの高い
大人の洒落者である。
プライベートでも常にジャケパンを
スキがなく着こなしている。
タイとチーフも見事に合わせ、
パンツの丈や靴のチョイスも抜かりない。
最初私は、てっきり同業者かな?
と思ったぐらいだ。
相当なこだわりがあるので、
要求してくるレベルも高い。
求めているアイテムについて、
スタイルだけでなく、微妙な色合い、素材感まで細かくピンポイントで指定してくるのだ。
自他共に認めるファッショニスタだから、
知識もそれなりに持っている。
こういうタイプのお客様に、気後れを感じる販売員も少なくないかもしれない。
お客様の方が、販売員を値踏みするような感じもあるから。
私の場合は、全く意に介さない。
むしろ、こういうお客様との会話は楽しいのだ。
もちろん、
販売員としての立場は変わらないが、
ただの服好き同士の会話と思えば、
お客様も心底楽しんでくれる。
しかも、普段忘れかけていた?ファッション知識が呼び覚まされるからだ。
さて、その日の B 様の目的はシャツであった。
最近どこかのショップで、ネップ入りの白のジャケットを購入したそうだ。
それに合わせるライトカーキのパンツ、
クリーム色のニットタイ、ベージュのスウェード靴はすでに用意してあるが、
シャツだけはイメージ通りのモノが見つからないという。
今日も一日かけて何軒もの店を見てきたそうだ。
最後の頼みの綱で、メンズビギに寄ったというから嬉しいではないか。
そしてB 様は、一枚のシャツに食いついたのである。
色も素材感もイメージに近いそうだ。
だがしかし…
襟のデザインだけが好みではないという。
B 様
「この襟がレギュラーカラーだったらなぁ…」
GM(私)
「最近はワイドカラー(ホリゾンタルカラー)が主流なんですよねぇ…」
B 様
「どこの店行ってもこの襟が多いけど、何で?」
GM(私)
「現在のメンズファッションの潮流は、クラシック(原点回帰)だからです」
B 様
「襟の開きが広い方がクラシックでドレス寄りなの?」
GM(私)
「そうなんです、歴史がありますから」
B 様
「へ~そうなんだ。いつ頃からあるの?」
GM(私)
「100年は経ってないですが、その昔イギリス国王を務めたウィンザー公が流行らせたスタイルです。庭の池から羽ばたく白鳥の姿に似ていたので、ワイドスプレッドカラーと名付けたそうです」
B 様
「ふ~ん。でもこの襟って、ネクタイ締めづらくない?」
GM(私)
「おっしゃる通り、通常の結び目だとバランスが悪いです。そこでウィンザー公が考案したのが、結び目が大きいウィンザーノットなんです」
B 様
「なるほど!それは面白い話だねぇ。ありがとう、また来るよ!」
風のように去っていくB 様であった…。
会話を聞いていたスタッフも、
「それ、面白い話ですね」
と言う。
そうか…。
服好きな男は、みんな知ってるのかと思っていたが、意外と知らない人もいるのかと
その時気づいたのである。
「書いてみよう、゛伝説の男゛ウィンザー公を!」
と、私はその時決意したのである…。

画像は引用しました
これは奇しくも、
現在 EU 離脱問題で揺れる
イギリスの裏面史なのだ。
メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより
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