心理セラピストの妻が開いていた、
サロン(セッションルーム)のことだ。
当初は個人セッション用に借りた部屋だったが、ここ数年活動内容も変わり使い途があまりなくなったので、先月末で引き払ったのである。
本来なら私には直接関係ない。
しかし、私にとって《Orange Room》は
並々ならぬ愛着があるのだ。
それは6年以上前のこと…
妻がこの物件を見つけてきた時、
2階建てで1階がカフェだということを
聞き、勝手にオシャレな建物を想像した。
ところが、都内で駅近の割りに家賃が安いので、もしかして訳あり物件?
と思ったら、なんてことはない。
とにかく古~い建物だったのである。
昭和レトロと呼ぶに相応しいこの物件には、興味深いオマケが付いていた。
それは、リノベーションOKなのだ。
借り主が好き勝手に部屋を改造できるのである。
他の部屋の借り主さん(雑貨屋さんやデザイン事務所など)も、皆それぞれ工夫を凝らしているのだ。
「やってみる?」と聞かれ、
「うん、やるやる!」と二つ返事で答えた。
D I Yには多少興味がある。
とはいっても、私には経験も知識もない。
強いて言えば、インテリアや雑貨が大好きなことと、実際仕事でお店をやっているので、ちょっとだけノウハウがあることぐらいだ。
世の中には、自分でお店をやってみたい人って結構いるんじゃないかと思う。
でも、お店の運営って色々大変なんです。
私も骨身に沁みています。
ただし、お店作りだけは
やっぱり楽しい❗
早速コンセプトとイメージを考えた。
①…セラピーサロンだから、
居心地のいい部屋が絶対条件である。
②…女性のお客様が多いはずだから、
適度な可愛いさも必要である。
③…建物の古さ(レトロ感)を生かすこと。
④…実際よりも広く見せること。
⑤…とにかく低予算で仕上げること。
発注先様(妻)の要望を伺いながら、
打ち合わせ(家で晩御飯食べながら)を
繰り返した。
①~④の条件は、頭の中のアイディアで
なんとかなりそうな気がしたが、
⑤の条件は、結局全部自分でやるしかないのだ。
なんでもそうだが、
古いモノというのは、
手入れを行き届かせ
清潔感さえあれば、
新しいモノには絶対に出せない
味や雰囲気がある。
元和室だった床は、
さすがに私の手に負えず、
業者に頼んでフローリングに
してもらった。
壁は前の借り主が塗った漆喰を
そのまま生かした。
まず店の顔となるドアは、
《Orange Room》だけに、
オレンジのペンキを塗ることにした。


こんな広い面積を塗るのは、
生まれて初めての経験である。
丁寧にヤスリ掛けするだけでも一苦労だ。
これだけで半日近くもかかり、
文字通りヘトヘトとなって
初日の作業を終えた。
前途多難なスタートではあったが、
密かに快感を覚えたのも事実である。
私はその時気づいたのだ。
これはもう、大人の秘密基地を作っているようなもんだと…。
to be continue…
メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより