先に言っておきます。
興味ない方には面白くありません。
さて、ピンクフロイドのザ・ウォールがリリースされた1979年、私はまだ中学生。
でもその年のことはよく覚えている。

ピンクフロイドだけでなく、レッドツェッペリンの「イン・スルー・ジ・アウト ・ドア」、イーグルスの「ロング・ラン」など
大物バンドが相次いで新作をリリースしたからだ。一番聴いたのは、ツェッペリン。
小学生から聴き始めたロックだが、
子供だから、詞よりもキャッチーで分かりやすい音の方に反応しがちだった。
ちなみに小5の時、初めて買ったレコードは、ポールマッカートニー&ウィングスの
「ヴィーナス アンド マース」
歌詞の中にジミーペイジが出てるのに気付いたのは数年後だ。
中学生でやっとクイーンからツェッペリンに興味が移ったぐらいだら、NHK FM渋谷 陽一のサウンドストリートで、
初めてピンクフロイド「ザ・ウォール」を数曲聴いた時、暗くて地味だけど
早くコレの良さ分かるようになりたい
と思ったものだ。
当時はパンク全盛時代。
前時代的なツェッペリンやフロイドは
彼らの攻撃の的にされたけど、
やっとプログレにも興味が出てきた
当時の私には、下手で粗野でうるさいパンク連中の方が理解出来なかった。
だってイギリスの社会情勢なんか知らないし、世の中への不平不満もそんなになかったし。
そして高校生になるとプログレだ。
プログレの全盛時代は過ぎてるから、
後追いで聴いていく。
丁度その頃、学校の近くにレンタルレコード屋が出来た。
LPは高くて滅多に買えない当時の私には、
夢のような出来事だった。
学校では、何組の誰々があのレコード持っているという情報が入れば、すぐに借りに行ったものだ。懐かしいなぁ…。
ところで、ピンクフロイドでしたっけ?
それにしても、ピンクフロイドって不思議なバンドである。
メンバー個々の才能は特に秀でたものはなく、さらに存在感が薄い。
超有名バンドなのに、メンバーの名前を全員言える人が少ない。
ルックスやファッションがイマイチ。
偏屈で頑固者。
閉鎖的で暗いし…。
(ちょっと、言い過ぎたかな…)
にもかかわらず、あの凄いセールス❗
確かにピンクフロイドの音楽は、
腰を据えて向き合って聴くと、
いくらでも深読みできる。
その反面、気軽なBGMとしても聴ける。
音へのこだわりが尋常ではない。
ムダな音が一切入っておらず、シンプル。
ここにはこれしかない!という音を抽出しているかのようで、心地良いのだ。
独特の浮遊感もある。
これ聴いて瞑想も出来るし、人間の精神世界と宇宙が繋がる感じがしてくる。
その時代のトレンドの音に左右されないから、いつ聴いても古びた感じがしない。
これはロックの範疇を越え、ひとつの芸術作品としての普遍性を追求しているからだと思う。
文学的だけど、解りやすいテーマやコンセプトも普遍性のあるものだし。
ロックバンドというよりも、
優れた音楽集団、いや総合芸術集団のような匂いがするのだ。
「ザ・ウォール」後の分裂により、
リーダー格のロジャー・ウォーターズが
脱退するが、その後発表していくソロアルバムが興味深い。
ロジャーが、ブルージーなデヴィッド・ギルモアのギターの代わりに抜擢したのは、
何と!エリック・クラプトンや
ジェフ・ベックなのだ。
これは、ギルモアに対する単なる当て付けなのか、それとも賛辞なのか?
また、ベルリンの壁崩壊後行われた
ロジャー・ウォーターズによる
「ザ・ウォール ~ライヴ・イン・ベルリン」では、自分の存在感を示すかのように、ザ・バンド、ジョニ・ミッチル、
ヴァン・モリソンなどの大御所に、
自分の曲を歌わせている。
いったいこの人、
どういう神経の持ち主なのだろうか?
多分、私とは気が合わないだろう。
一方のデヴィッド・ギルモアなら、
ちょっとクセがあるけど、
友達になれそうな気もする。
あの憂いのあるギターは、まるで演歌だし…。
でも、何だかんだ言って、やっぱり私は
ピンクフロイドが好きかもしれない。
久し振りに作品を引っ張り出してきたら、
意外に持っていた。

果たして、ロジャー・ウォーターズと
デヴィッド・ギルモアとの間に立ち塞がる壁は、本当に取り払われたのだろうか?
私の妻の言葉が甦る。
「物事は大局で見ることが大切だ…」
二人に教えてあげたい。
メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより