調味料じゃないです。
知らないか。
じゃあ、キン ・シオタニは?
知ってる人は絶対知っている。
知らない人は誰も知らない。
当たり前だ。
キン ・シオタニは、
独特の作風で支持されている
イラストレーターだ。
そして、彼が出演している風変わりな
散歩番組が「キンシオ」である。

tvk(テレビ神奈川)の番組だから、
かなりローカルだが、私の場合はそれを
さらにテレ玉(テレビ埼玉)で観ている。
シュールだ。
今って、テレビ観る人減ってる時代だと
思うけど、その理由は他にやることがあって観る時間がないとか、面白い番組がないからということだろう。
むしろテレビをたくさん観てる人を、
馬鹿にする風潮さえある。
私もそうだから。
でも、そんな私でも好きな番組が
少なからずある。
「キンシオ」は、そんな中の1つだ。
何がいいのだろう?
初めて観たのは、4、5年前。
ちょっとした衝撃だった。
あまりにもユルくて。
そして全くと言っていいほど、
作り込んでいない。
散歩番組と言っても、目的の欠片もない
行き当たりばったり。
観光地やその土地の名店紹介も一切なし。
直アポで入った純喫茶では、
バカの一つ覚えのように
必ずナポリタンをオーダーする。
好奇心旺盛で生意気な小学生が
そのまま大人になったような、
キン ・シオタニのキャラクター。
軽妙な語り口というより、
言葉の垂れ流し。
時々垣間見る、無気力さ。
一体、何者?。
興味は膨らむ。
なぜか、その土地の地形や歴史に
異常に興味をもつあたりは、
タモリに似ていなくもないが、
タモリのようなアカデミックさはない。
あいうえおの旅、1,2,3の旅、
色んな色の旅、生きものの旅、
abcの旅など、行き先を決める為だけの
どうでもいいシリーズが続くのだが、
なぜか次のシリーズが何になるのか、
気になってくるから不思議だ。
くだらない。
実にくだらない。
でもツボにハマる。
大した目標や目的のない
何気ない日常の中で、見過ごしがちな
ちょっとしたものに幸せや喜びを感じる
キン・シオタニの姿に、
自分を投影しているのかもしれない。
そしてもう1つ、
私が注目しているのは、
キン・シオタニのファッションと
彼がセレクトした番組内で流れる音楽だ。
もちろんただの散歩だから、
気張った服装をしているわけではない。
ジーンズにスニーカー、
マウンパにニット帽など、いたってラフ。
こなれた感じから、全て自前だと分かる。
でもよく見ると、
身に付けている全てのアイテムが、
それぞれの世界で選び抜かれたモノだと
分かる。決して高級ブランドではないが、
マニアウケするモノばかり。
よほどセンスの良い、セレクトショップで
買ってるかが分かる。
さらに、服のサイズ感や
ジーンズのロールアップの具合が玄人だ。
さすがアーティストである。
そして、番組で流れる音楽。
ビートルズを筆頭に、ストーンズ、
ヴェルベット・アンダーグラウンド、
ルー・リード、ニール・ヤング、
キンクス、エルビス・コステロ、
レディオ・ヘッド、R.E.M、ブラー、
XTC、U2、プロコムハルム、ザ・フー、
フェアポート・コンベンション、
モット・ザ・フープル、etc……
ブリティッシュ系が優勢。
私の好きなアーティストばかりだ。
しかも、それぞれのアーティストの
代表曲というよりは、
ちゃんとアルバムまるごと
聴き込んでないと分からないような、
通好みの曲が多いのだ。
番組内で流れる曲を聴いて、
久し振りに聴きたくなるアーティストも
いるくらいだ。
さて、この脱力系散歩番組、
私だけでなく妻も気に入っている。
何回か連続で見逃したりすると
その後、無性に観たくなる。
我が家ではこれを、
「キンシオ禁断症状」
略して「キン禁」と呼んでいる。
意図して作られた番組かどうか
知る由もないが、少なからず私のように
癒される人がいることだけは確かだ。
この番組にハマる人となら、
すぐに友達になれそうな気がする。
一見の価値あり。
メンズビギ マルイシティ横浜店 GMより