ジョン・レノン | 走りの殿堂の不思議な世界

走りの殿堂の不思議な世界

アウトローなオヤジのひとり言

1980年、12月・・・・日本では事件を夜遅くに、ニュース速報などで報じていたらしいが、高校3年で学期末試験を翌日に控えていたオレは、テレビやラジオもなしで一夜漬けで教科書を頭にぶち込むのに忙しく、そのまま寝てしまった。。。

何も知らないオレは、朝起きて、いつも通りお茶を飲んでいると、

なんか父と母の様子がおかしい。。母「言わない方がいいわよ」

父「いや、どうせ、すぐわかることだ、早めに言っておいた方が・・」

オレ「なに?どうかしたの?」

父「あのな・・昨日、酒を飲みに行っていて、ちょっと聞いた話なんだが・・ビートルズの誰かがピストルで撃たれたらしい。。」

オレ「え~!?ビートルズの誰!??」

父「誰かは知らないけど・・・ほら!新聞に載ってるよ」

 

オレは慌てて朝刊を手に取った・・・

リンゴか?ジョージか?まさかポールじゃないだろうな。。

撃たれたって?足かなんかに、ちょっと当たっただけで軽傷かな?

重症だったらえらいこっちゃ。。などといったことが、0コンマ何秒のうちにアタマによぎりながら・・

 

新聞を見て愕然!

「レノン!凶弾に倒れる!」

ま、まさか・・言葉も出なかった、信じられない、どうして?悪夢を見ているのか?

たぶん両親はオレが取り乱すと思っていたかも知れないが?

「試験があるから学校に行ってくる」と言って家を飛び出した。。

 

教室に入ると、みんながオレの方を見た。。ほとんどの奴は知っているようだ。。オレがビートルズのファンであることも。。だが、誰も何も言わない。。静かに試験が始まるのを待つ。。

オレは解答用紙に名前を書いたが・・問題を読んでも昨日、覚えたはずのことが全く思い出せない。。一夜漬けで勉強したことは、全部、アタマから吹き飛んでしまっていた。。

結局、名前を書いただけで白紙同様で提出した。

 

仲の良い友人が近づいてきて、肩をポンと叩いて「まあ、元気出せよ。。」と言った。オレは「あぁ・・」と頷くだけ。。

その日の試験は、その1科目だけで、すぐに帰宅した・・というか帰宅する前にレコード屋に寄った。。

ジョン・レノンは5年ぶりの新作「ダブル・ファンタジー」を出したばかりだったがラジオで何回か聴いたが、まだ買っていなかった。

その場で、オレは買った。その後、爆発的に売れることになり追悼盤という帯がつけられるのだが・・・オレが買ったものは、まだ追悼盤とは書かれていないものだった。。。

 

ジョンが活動を休んでいた5年間にパンクの台頭などロックシーンは様変わりをして・・ダブル・ファンタジーも、さほど売れてはいなかった。。

 

家に帰ってターンテーブルに乗せ針を落とす・・・

聴いていたら涙があふれてきた。。3カ月前に祖母が亡くなったときも泣きはしなかったのに・・初めて人が死んだことで泣いた!

有名人が死んだことで涙を流したのは後にも先にも、このときだけだ。。

何回もレコードを聴きながら・・・ジョンは、もういない。。昨日までは生きていた。。でも、もうこの世にいない。。信じられない。。

 

ひとつの時代が音を立てて崩れてゆくのが、はっきりわかった。。