俺:「あ…」
小橋さんが「俺も食べようかな」
と、テーブルに近付いてきた。
いつもなら一番最初に小橋さんが食べるのだが、この日は真剣な顔でスポーツ新聞を読んでいて「先に食べろ」と言われていた。
その真剣な顔立ちのまま、椅子に腰かけた…
僕はすぐさま小橋さんの茶碗にご飯をよそって、お茶と一緒に差し出した。
小橋さん:「橋」
俺:「は、はい!」
ヤバい…
新聞を読んでるのに俺が騒いだから怒ったのか?それとも日本酒飲んでたからか?
ハッピードルフィンはともかく、日本酒は頑なに断るべきだったのかも…
小橋さん:「お前、プロレスラーなんだろ?」
俺:「はい…(?)」
小橋さん:「プロレスラーが痛いとか言っていいと思ってるのか?」
俺:「いえ、いけません」
小橋さん:「そうだろ?じゃあハッピードルフィン貸せ」
俺はハッピードルフィンを小橋さんに渡した。
小橋さん:「こうやるのか?」
「ゴンゴン!」
…何故か最初から強めだった。
小橋さん:「痛いか?」
俺:「痛くありません!」
「ゴッゴッ!」
小橋さん:「痛いか?」
俺:「いえ、痛くありません!」
「ドゴッドゴッ!」
小橋さん:「痛いか?」
俺:「いえ、痛く…あり…ぐわぁ~!!いてぇ~!!」
頭を両手で覆う俺。
小橋さん:「何!?いてぇ~!?俺に言ってんのか!?」
言葉は怒ってるが顔は笑っていた。
すかさず志賀さんが
「お前!小橋さんに向かっていてぇ~って何だよ!?」
…こういう時の志賀さんは誰よりも早かった(今でも)
小橋さん:「よーし!もう一回…」
「ズダダダダ!」
俺は居間から脱出。
この痛みは受けた者にしか分からない。
暫くして様子を見たら、みんな普通に食べていた。
ハッピー・ドルフィン…
全くもって「ハッピー」ではない。
日本酒で肝臓を鍛えられ、ハッピー・ドルフィンで頭を鍛えられたお陰で今の俺が存在す…
んなわけない。
おわり