地学基礎 地質時代 その4 新生代 | はし3の独り言

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 地質時代のお話も、新生代で終わりです。

 

 

 新生代は、一番最近の地層を元にまとめられた時代で、世界中で恐竜が繁栄した中生代の後になります。

 

 地質時代には、分け方の問題が絶えたことがなくて、21世紀に入ってから新生代だけでも3回の提案が出されています。

 

 もともとは現生の生物に近い化石が現れる地層が作られた時代として作られた第三紀ですが、人類の時代として第四紀が加わり、今では第三紀が古第三紀と新第三紀に分けられて、長く使われてきた「第三紀」はなくなりました(使ってもいいそうですが)。

 

 第三紀は地学基礎の教科書に残っているので、ここでは紀の中に紀をつくるというおかしな表現になってしまいます。事情を知らない高校生は、きっと戸惑うでしょうね。

  

 

 第四紀も、人類の化石がより古い地層から発見されるのを契機に見直され、10年ほど前に新第三紀の一部が第四紀に編入されて、今の260万年前からになりました。

 

 地質時代まだ完成したものではないのです。今後も変更を繰り返される運命にあるでしょう。高校生のうちはその点をわきまえ、大筋を理解して、示準となる生物を教科書通りにインプットしていくのが効果的な学習法です。

 

 細かいところは気にせず、新生代は哺乳類が恐竜にとって代わって地球上で繁栄する時代だと覚えましょう。第三紀には、サイやカバによく似た大型哺乳類の化石が見られます。それからヌンムリテス(貨幣石)とビカリア(巻貝)が示準化石です。

 

 第三紀の覚えておくべきトピックスは、アルプス山脈やヒマラヤ山脈ができたこと。

 

 隆起したところには雨が降るので、大規模な浸食によって大量のカルシウムイオンが海に流入するようになりました。水に溶けたカルシウムイオンは二酸化炭素を吸収して、海底に沈殿してしまうので、大気中のCO2濃度が極端に低下しました。

 

 温室効果ガスである二酸化炭素の減少に伴い、地球は寒冷化して氷河期に入ります。

 

 氷河期というのは、地球の極域に氷床が存在する時代のことを言います。今は南極やグリーンランドに氷床があるから氷河期です。氷河期は、寒冷化の度合いによって氷期と間氷期に分けられていて、現代は氷河期の間氷期にあたるわけです。

 

 第四紀はナウマンゾウや人類の化石が出てきます。原始人がマンモスを追いかけているイメージが合います。

 

 地質時代は動的で、完成にはまだ遠い道のりがあるのが感じられます。今後も新しい発見がある度に新しくなってゆくことでしょう。今回、地質時代を図に描くために、紆余曲折を重ねてきた経緯に触れ、普通の高校生にそれぞれの時代の定義がどう決まってきたか説明するのは一苦労だなと思いました。

 

 高校生が受験科目として地質時代を学ぶときは、教科書程度でそれぞれの時代の特徴を理解し、示準化石を覚えてしまうのが一番でしょう。

 

 でも、地質時代をかじったからには、地球の過去を概観することによって、今後の地球の運命を想像したり、人類の果たすべき役割を考えたりして欲しいところです。

 

 すぐに人類を地球を滅ぼす悪者みたいに言う世の中の風潮が、いったいどんなもんだか。人類がいなくても大量絶滅と再生を繰り返してきた地球史は、広い視野を持って地球の環境と将来を考えなくてはいけないことを示唆しています。

 

 例えば地球ができてから減り続ける傾向のある二酸化炭素は、生態系を支える光合成の材料という点と、寒冷化を防ぐ温室効果ガスという点から、欠かすことのできない環境資源なのだという視点を忘れてはいけません。

 

 地質時代を学ぶことは、地球の環境について、客観的・俯瞰的に考えるきっかけになると思います。