夏の思い出 -K先生宅でバーベキュー- | はし3の独り言

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腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

 もう16年前になるのかあ・・・。早いものです。

  

 K先生と出会う前、私はオシャレであるとか、自分の見栄えを気にするとか、一社会人としての常識が普通の人の半分くらいしかありませんでした。

 

 値段が安いという理由で選んだ服に身を包み、腕にはその辺で買ったセイコーやカシオの、なんだかよく分からない安い腕時計をはめていました。

 

 しかし、剣の道をまっしぐらに生きてきたK先生は私と違い、身だしなみはしっかりとしており、鍛え上げた腕にはオメガをはめ、こだわりの男グッズを身につけていました。

 

 K先生とは一緒に剣道部の顧問をやってもらいましたが、部室に転がっていたプラスチック製の赤胴と、前の顧問の先生が忘れて残していった古い面を身につけていた私と違い、K先生はたしか「泉皓」の防具を身にまとい、時には稲妻の模様の入った珍しいサメ胴を装着し、普通よりも重い特注竹刀をブンブンと振り回して、生徒を圧倒していました。

 

 K先生には物に対するこだわりがありましたが、それは周囲の人への精一杯の礼節であって、誠実に接しようとする気構えの表れだと思います。そんなK先生に対する生徒の信望には厚いものがありました。

 

 剣道の世界では、相手への礼節の表現として、身なりを整えることがあります。

 

 考えてみたら、デートの時にジャージででかける人はいません。服装や態度を整えることは、相手に対するマナーと言えます。自分の見栄えを気にせず、適当な格好をすることは、他者を軽く扱っていることと同じになります。

 

 K先生と出会い、私は最初のグランドセイコーを買いました。おかげで私は、腕時計だけは恥ずかしくない物をつけているという自信を持って過ごすことができました。

 

 その時計は16万円しましたが、それから15年間使い、最後は4万円で売れましたから、1年あたり1万円かかっていません。安い時計を頻繁に買うよりも、ずっと経済的でした。

 

 そう考えると、良いものを身につけることは、確かに贅沢なことであるかも知れないけれども、意外に悪いことではありません。

 

 それに、生活の質を向上させようと意欲を燃やして過ごすことは、人生を豊かにしてくれます。

 

 私には、K先生から学んだことがたくさんありました。

  

 この夏、そんなK先生の自宅に招かれ、バーベキューをしてきたんですが、さすがはK先生、私のはるか先に行ってしまったような暮らしぶりです。

 


↑K先生邸の庭でバーベキュー 
  

 向上しよう、良くなろう、上手になろうという気持ち、これは人生を豊かにするために欠かすことのできないものです。

 

 目標、生きがいなどの言葉と言い換えてもいい。これを失ったとき、人生というものは、レベルに関係なく全く色あせて儚くなってしまうことでしょう。何でもいいから価値のある物をみつけ、レベルを上げようと奮闘すること。きっと、その過程に幸せという物が存在します。

 

 充実した人生を送るための秘訣を、K先生から教えて貰った気がします。

  

 という訳で、今回のバーベキューパーティでは、肉のレベルにもこだわりました。 
    

 K先生は、私を自宅に招くにあたり、精一杯の心遣いをして待ってくれているに決まっていましたから、私も感謝の気持ちを、土産をはじめ、服装や態度に精一杯表現しました。

 

↑もちこんだ高級飛騨牛 贅沢です 美味しいと言って貰えました よかった
 
 
 K先生の腕には、泣く子も黙るシードゥエラー。この時計をさりげなくつけることのできる人間が、世の中ににどれだけいることでしょう。ほんとうによく似合っています。
  
↑K先生所有 ロレックスシードゥエラ-
    
↑グランドセイコーSBGA129(限定品)
 
 私も、もっている時計の中で一番の時計をはめていきました。グランドセイコースプリングドライブの特別限定品で、369本しか造られていない希少な物です。これは自宅に招いて貰ったことに対する感謝の表れです。
 
 そして、その日、バーベキューパーティに参加したK先生の後輩の腕に、ブライトリングのパイロットクロノグラフを発見しました。
 
 男なら、必ず一度は憧れたことがあると言っても過言ではないでしょう。
 
 しかもコレはナビタイマーの最新型、完全自社開発の新型キャリバーを積んだ時計好きも垂涎の一品です。
 
↑BRIGHTRING NAVITIMER01

 

 本物は、初めて見ました。私は高校生の頃、これによく似た安物の時計を買ってはしゃいでいたことがあります。

 

 見せてくれましたが、怖くて触れませんでした。高級時計だからと言うより、この時計に宿ったオーナーの心に配慮していました。

 

 日本では、物には心がこもっています。ぞんざいに扱ったら人の心を傷つけてしまいます。

 

 オーナーはまだ若く、かなり頑張って買ったはずですが、私はきっとこの時計がその方の人生を、値段以上に豊かにしてくれることを確信しています。

 

 あとで振り返って、良い買い物だったと、そんな気持ちになれる日が必ずやってくるでしょう。良いものの価値を認め、大切に長く使うことは、悪い選択ではありません。心から欲しい物が手元にない人生よりは、ずっといい気がします。もちろん限度はあるでしょうけれども。

 

 買ったばかりだから、傷がつかないように大切に箱に入れておきたかったかもしれませんが、大事な先輩のバーベキューパーティにその時計をはめてきた気持ちを、私は感じました。

 

いやあ、すごい物を見てしまった