腕時計遍歴25 セイコースプリングドライブ(9R65)-使用感&精度- | はし3の独り言

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腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

 

 

↑9Fクォーツと9Rスプリングドライブ

  

 「人生の節目に」、というグランドセイコースプリングドライブ(SBGA129)を、静岡にベルト交換に行ったというだけで買ってしまったばちあたりな私。

 

 使って1ヶ月ちょっと経ちました。

 

 スプリングドライブの使用感や精度について、報告したいと思います。

 

 セイコーの必殺技、スプリングドライブとは、機械式時計と同様にゼンマイ(自動巻)がほどける力を駆動力としています。

 

 ゼンマイは、そのままにしておくと、チョロQみたいにビューンとほどけてしまいますので、規則正しくストップをかけて調節する仕組みが必要です。

 

 機械式の場合は、ガンギ車とアンクルと呼ばれる部品が、ひげゼンマイとテンプと呼ばれる規則正しく振動する部品の制御を受けて、ゼンマイが少しずつほどけながら時計の針を動かしている訳です。

 

 スプリングドライブの場合は、ゼンマイがほどけると同時に発電もしており、これでクォーツとICがローターの回転速度を測りながら、電磁ブレーキをかけるという、ウルトラDみたいな制御をしています。

 

 この方法ですと、機械式につきものの、カチカチという音はしません。無音です。(電磁ブレーキですからね。)

 

 秒針の運針も滑らかそのものになります。(スイープ運針と名前がついています。)機械式みたいにちょっとずつ刻んで進むことはありません。

 

 したがって、この静粛性とスイープ運針が、スプリングドライブの最大の特徴になります。

 

 
 この、諏訪の新雪をイメージした雪白文字盤を飾る、冷徹なまでに磨きあげられたインデックスと時針・分針の上を、灰色の秒針がすぃ~っと流れていく様は、まるで人里離れたどこかの山奥の光景を見ているようで、現実離れした空間を実現しています。

 

 この文字盤の眺めだけでも、元を取れたような気にさせてもらえます。

 

 しかし、腕時計本体にやや厚みがでてしまうのがマイナスです。

 

 このAJHH限定のSBGA129を見るまでは、スプリングドライブの大きさと厚みが気になって、購入するのに躊躇がありました。

 

 他のスプリングドライブだと、ケースサイズが42mmくらいあって、手首からはみ出る勢いの大きさです。もともと、大きな時計に違和感を感じる私にとっては、ウルトラマンがカラータイマーをそのまま手首に持ってきたような違和感を感じていました。

 

 ショーウインドウの中できれいな時計でも、腕の乗せたときにどうかな?、と、思ってしまうのです。

 

 しかし、このSBGA129のケースサイズは39mmほどです。私が上限とする大きさです。

 

 というか、そもそも普通の日本人にとって、腕時計の上限は39mmでしょう。
 

↑このくらいが限界だと思います

  

 あともう少し薄くなってくれたら言うことなしなのですが、これは、次世代に期待しましょう。39mmを出してくれただけでもありがたいです。
  

↑悪かないんですが、ちょいと薄いと、ぴたっとくる気がする

   

 次に精度についてなんですが、これはさすがというべきでした。

 

 グランドセイコースプリングドライブには、9R65というキャリバーが積んであります。公表値で月差±15秒という精度を誇ります。

 

 数字だけ見れば、普通の廉価な月差クォーツ時計と同じレベルですので、あんまり期待をしていませんでした。

 

 普通の日差機械式時計に比べれば、そりゃ、クォーツ制御の分だけ精度は良いですけど、と、予想していました。

 

 数日すればコンマ何秒単位で狂ってくるだろうと思いきや、3日経っても、9Fクォーツと差が出ません。

 

 驚異でした。時刻合わせいらずです。

 

 ただ、放って置いて、2日くらいすると、1秒遅れが出ました。ゼンマイの巻きが減ってくると、運針のエネルギーは減衰するようです。

 

 スプリングドライブには72時間パワーリザーブ機能が備わっています。文字盤には例外なくパワーリザーブ表示があります。

 

 常に装着し、この表示が満タンに近い状態をキープいたしますと、月差どころか年差時計に匹敵する精度をたたき出すかも知れません。

 

 そう思ってみると、最初は邪魔に感じていたパワーリザーブ表示も、精度を保つためには致し方ないということになります。

 

 自動巻の性能はたいへん良く、つけてさえいれば、通常使いでどんどん巻き上がっていきます。
 

 SBGA129の場合、この表示の針が赤で、気に入っています。

 

 なんというか、重くなくなる。

 

 とにかく愛用すれば、精度という点で主人を裏切らないという、なんとも可愛い腕時計なのです。

 

↑せっかくの精度を保って欲しいからこそのものなのでしょう

 
 さらに、姿勢差、温度差に対しても、機械式よりも強いのではないかと思うし、実際にそうなのでしょう。

 

 なんといっても、IC制御の電磁ブレーキ採用ですから。ガンギ車とアンクルで制御しているのとは比較にならないと思われます。

 

 こうなると、腕時計として、かなり信頼の置ける存在となります。私にとってこれは大きい。

 

 やっぱりグランドセイコーは普通の時計とは、次元の違う優秀な時計と言うことができるでしょう。

 

↑良い時計です

 

 スプリングドライブって、どうなのかな~、と、購入に躊躇している方向けに書いたつもりなんですけれども、どなたかのお役に立つことができたら幸いです。

 

 グランドセイコーは、けっして選んだ人を裏切ることはありません。