ミシシッピアカミミガメの甲羅干し | はし3の独り言

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腕時計に自転車、高校理科の話題が多いブログです。日常で印象に残った出来事も取り上げます。時間があって、気が向いた時しか更新できていませんが、ご愛顧よろしくお願いします。

2008/11/24


 冬になると、柔らかい日差しが室内に入ってくるようになり、天気の良い日は生物室にあるミシシッピアカミミガメ(Trachemys scripta elegans)の水槽を温かく包む。

 生物室には、他にもウーパールーパー (懐かしい…)がいたりして、訪れる生徒の心を癒している。ジッと動かないウーパールーパーと見つめ合い、自分まで動かなくなっている生徒が、この時期はよく見られる。



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 普段は一番人気のウーパールーパーだが、この時期はその座をミシシッピアカミミガメにゆずる。それはミシシッピアカミミガメが優雅に甲羅干しをしているからだ。




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↑日差しを全身で受けるミシシッピアカミミガメ

 ミシシッピアカミミガメに限らず、カメは日光浴が好きだ。変温動物だからという理由もあるんだろうけど、きっと甲羅を固くするのに紫外線が必要なんだろうな。


 ヒトの場合、紫外線がカルシウムを吸収するのに必要なビタミンDの活性化に欠かせない。日差しの弱い環境に長くいると、ビタミンDが使える形にならず、骨が正常に育たない。

 

 とかく嫌われ者の紫外線だが、不足すれば、くる病や骨粗相症の原因になるのだ。


 そんなうんちくを語る機会を与えてくれるミシシッピアカミミガメの甲羅干し、気持ちよさそうですねえ。



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↑別角度から イナバウアー^^?


 職業柄、小さい頃を振り返ることの多い私なのだが、けっこう動物とのふれあいは自分の人生に影響している気がする。何を教えて貰った訳じゃないのだけれど、生き物が好きになったのも、生物学科にすすんだのも、彼らのせいかなあ。


 そうして生き物たちは今でも私の行動に少なからぬ影響を与えている。授業の時に、とても役に立つからだ。


 この場合は、「本能行動」を説明する場合にも使える。


 臆病で短気なミシシッピアカミミガメも、この時ばかりは近づいても逃げないし、触っても怒らない。どうしてなのか?


 カメはは虫類なので、本能行動が多い動物だ。カメの気持ちになるになってみよう。


 ① カメは、どうして自分が日光浴をするのか、意味が分かっていない。


 ② きっかけ(信号刺激)によって生じた、言葉にならない衝動に突き動かされている。


 ③ すっきりするまで行動の変更ができない。


 ④ 遺伝的な、生まれ持っている(先天性)、型にはまった行動様式である。


 みなさん、この手の行動を取ってしまった、痛い想い出はないだろうか。


 警戒心の強いウミガメの産卵を見るのはたいへんなのだが、産卵に入ってしまえば、棒で叩いても手を引っ張っても大丈夫だと読んだことがある。見つかっちゃったんだから逃げればいいのにそれをしないのは、これが本能行動だからだ。自分の行動の意味が分かっていないのだ。



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↑近づいても触っても、気にもしない。一見すると不思議だ。


 また、本能行動は、連鎖する場合があり、複雑な行動に発展することがある。


 本能行動の連鎖は、いわば反射の連続で、繁殖行動に役立っている。


 反射の類だということは、自分でコントロールしがたいことを意味している。


 だいたい動物は、繁殖可能になると無意識にお互いに信号を出して、異性の本能行動を刺激している。信号を受け取ってしまった側はたいへんだ。繰り返して言うが、いわば反射だから、もちろん自分でも行動の意味が分かっていない。


 よく一過性の熱病にも例えられる「一目惚れ」は、この手の類だと思う。


 お互いに反射の連続がうまく連鎖して、無事にゴールインと運べばいいのだが、邪魔が入ったりしてなかなかそうはいかない。そうすると、とても苦しい思いをする(衝動の時効は3年くらいかな)。


 自分でも行動の意味が分かっていないため、解釈に苦しみ続けなければならない。文学なんて芸術は、このあたりから生まれるんだろうな。所詮は本能行動なのにな、ふっ。


 仮にうまく事が運んだとしても、連鎖が終了してすっきりしてしまうと、衝動から解放されて、お互いに狐につままれたような気持ちにさせられるのも質が悪い。


 みなさんの周りにも、


 「ど、どうしてあんなに奇麗な女性が、ゴリラみたいな男と~Σ(・ω・ノ)ノ!w」


 或いは、


 「せっかく裕福な家庭に生まれているのに、あんな貧しい男と駆け落ちだなんて…Σ(゜ロ゜ノ)ノ」


 なんていう、周囲から見れば意味がよく分からない組み合わせは頻繁に見られるはずだ。正直いって止めてあげたほうがいいに決まっているのだが、本能行動を止めるのは至難の業なんだよなあ。


 かつて、私も解釈に苦しんだけれど、今ではそうは思わない。


 きっとツボを突かれてしまったのだ。


 

 恋愛には疎い私でも、無計画に衝動に突っ走っていることがある。


 そう、自転車だ。


 もう、いくらお金を使ったか覚えていない。使った分を蓄えておけば今頃はもっとお金持ちなはずなのだが。あまり乗りそうもない自転車まで大枚をはたいて買ってしまったこともある。本当にバカとしか言いようがない。


 でも、美しい自転車に囲まれていると幸せになれるのだ。もっと良いパーツが欲しいのだ。寒い中でも走りに行きたいのだ。


 本能行動に振り回される私でも、学んだことはある。


 本能的な欲求を満たすと、ストレスの解消になるということだ。