「あぁ、もういい!とにかく姉ちゃんは祭に行 ったんだな?」
踵を返し出て行く磯良の背に老婆の声が追いすがる。
「ユーリちゃん迎えに行くんかい?途中で妙な事するんでねぇぞ~~~」
「うるせぇ干物ババァ!!!」
始めは早足だったのだが祭会場である神社へと近付くにつれ、
磯良の足は速くなり、鳥居をくぐる時には全力疾走していた。
汗だくで息を切らし人ごみを見渡すが、求める姿はどこにも無い。
屋台の売り子を掴まえては、スラっと背が高く長い黒髪のちょっと綺麗な娘が
来なかったか尋ねまわった。
すると、リンゴ飴を売っていた村の青年団が覚えていた。
「ああ、あの美人な娘の事かな?この辺では見かけない顔だったし、
あれ、カラコンって言うの?眼が赤っぽく見えたから珍しくて覚えてるよ。
割れちゃって売物にならないべっこう飴オマケに付けたら凄い喜んでたなぁ」
青年団員の微かな下心に心中穏やかならざる磯良だったが、
今はそんな事よりまずユーリの身柄の確保が優先だ。
「それで、それりゃどの位前の話だ?その姉ちゃんどっちに行ったか分かるか?」