磯良は老人達とユーリに罵声を浴びせると 再びくるりと背を向けて
膏薬を詰める作業を始めた。
始めはしたが、先ほどからムキになって詰めていた為そのほとんどが
中からはみ出していたり、極端に少なかったりと乱雑極まりない。
「ああ…、くそっ…!」
はみ出した膏薬を拭き取り、半分以下しか入っていない物に足したりしつつも、
磯良の神経は背中に、背後に向けられていた。
軽やかなスニーカーの足音が戻ってくるのを、
ハキハキとした明るい声が「磯良さん戻ったよ♪」と響くのを期待して。
しかし、そういった希望――いや、妄想は実現しないのが世の常である。
やきもきする磯良を知ってか知らずか、
ユーリはそれから30分たっても1時間たっても戻ってこなかった。