ユーリが差し出した小包を受け取ると、磯良はあからさまに不機嫌そうな渋面を作り、
「…用が済んだんならサッサッと帰れ」
途端に周囲の老人達がヤイヤイと騒ぎ出した。
「なーんじゃ磯さん!この暑い中こんな田舎くんだりまでせっかく来てくれた別嬪さんをこのまま帰す気か?」
「磯さん天邪鬼も大概にせぇ!」
「ユーリちゃん、こんなムサいオッサンの事なんて放っといたらええ。わし等とお茶飲むべ」
「ほれほれ、おれが漬けた浅漬け食べてみんしゃい」
「あ、あの…、えと、そ、それじゃ折角なのでいただきます…。わぁ!美味し~~~い♪」
磯良を気にしつつも、気の良いユーリは老人達のもてなしを断りきれず
老人達の輪の中に取り込まれてしまった。
最初こそ戸惑っていたユーリだったが、
田舎の老人特有の遠慮のない開けっ広げでカラッとした話し振りや気風にウマが合ったらしく
すぐに打ち解けて楽しげに自ら会話に加わるようになる。
「てめぇら、人の家を何だと思って――――…!」
磯良が声を掛けても誰一人振り向かない。
「帰れ」などと言った手前、今更下手に出て話の輪の中に加わることが出来ない磯良は、
言葉途中で渋面を更に渋らせると、ユーリと老人達に背を向け
膏薬を瓶に力任せに詰め始めた。