「おら!じじばば共!こいつ飲んだらとっとと帰りやがー…」

磯良が本当に煮えたぎった渋茶を手に戻って来ると、

そこには老人達に囲まれ押し付けられた干菓子を手に途方に暮れている娘が居た。
娘は磯良の顔を見ると、明らかにホッとした顔で頭を下げた。

「ああ、磯良さん!良かった、お邪魔してます」


「な―…、なんだ姉ちゃん。てめぇ…何しに来やがった?」


思わぬ珍客に渋茶の盆を手に立ち尽くす磯良に、老人達が冷やかしの声を浴びせる。


「何しに来たとは何じゃ。ユーリちゃんは磯さんに届け物を持ってきてくれたんじゃぞ」

「きっとこんな別嬪さんが急に訪ねてきたんで照れとるんじゃ」

「素直じゃないのぅ」

「ほんにのぅ。そんなじゃからいつま~~~でも一人身なんじゃぞ?」


「うるせぇ!余計なお世話だ放っとけじじばば共が!!」


図星を指され怒鳴り返す磯良に、ユーリと呼ばれた娘はバックの中から

古風にも油紙と麻紐で包まれた小包を取り出すと、


「はい、磯良さん。これ、レネから磯良さんへって。渡せば分かるって言われたんだけど…」


レネと言うのは、磯良が作った膏薬などを降ろしている奇妙な店の店主の名で、

このユーリと言う娘はその店主の知人の妹である。

実際の所、磯良はとある事件で知り合ったユーリに再び会いたいが為に

レネの店に薬を売りに行ったのが始まりだった訳で、

ユーリの訪問が嬉しくない訳がない。