以下、長年映画から遠ざかっている筆者が、TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』で取り上げられた作品を中心に映画DVDを観た後の簡単なメモ書きです。



『ハングオーバー!!! 最後の反省会』

ハングオーバー!!! 最後の反省会 [Blu-ray]/ワーナー・ホーム・ビデオ

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番組で取り上げられているのをきっかけに観てきたシリーズの第3弾にして完結編。どぎついギャグが多いけど肩の力を抜いて観られるので前2作はわりと好きでした。本作は前回までのお約束をなぞらないところが新鮮でしたし、過去のアクション映画などのオマージュのようなシーンも多々あって、マフィアの絡みで死人が出たりするのはこれまでより多少ハードな展開ですが、全体の雰囲気はそんなに違和感はなく楽しめました。毎回音楽のチョイスが楽しい作品なので、今回もビリー・ジョエルネタが多かったのは良かった。でもステュさんが歌うシーンが一番好きなので今回なかったのはちょっと残念。やっぱり1作目のステュさんのエルトン・ジョンのものまね歌唱が一番好き、というわけで1>2>3ですかねー。


『大脱出』

大脱出 [Blu-ray]/ポニーキャニオン

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スタローンやシュワルツネッガーの主演作品をたくさん観ているわけではない自分のような半端野郎でも、この共演がいかにスペシャルなものかは分かります。というわけで、両氏の絡みこそが全てな作品ですね!ネタばれも全くないフラットな状態で観ることができたのもラッキーでした。もっと全体を派手にしても良いと思うけど、脱獄に向けて地味に努力していく姿を見るのもそれなりに楽しかったし、終盤のシュワ氏の見せ場はテンションが上がりました。二大アクションスターが年齢なりの枯れ方を見せてくれているのもいいなと、作品の手頃なスケール感がいいなと思えたり。あと改めて、スタローンさんの作品がわりと好きだなと思った次第。『クリフハンガー』『デモリションマン』、あの辺の「復活期」の作品が特に好きです。最近も精力的でシュワさん共々まだまだ主演で暴れて欲しいですね。



『ゼロ・グラビティ』

ゼロ・グラビティ 3D & 2D ブルーレイセット(初回限定生産)2枚組 [Blu-ray]/ワーナー・ホーム・ビデオ

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これは完全にリアルタイムに劇場で観るべきだった作品ですね、テレビでももちろん良さは伝わるけど、これは映画館で観るための映画という気がしました。細かいネタばれは避けますが、そうですね、やっぱり序盤のワンカット長回しと、久々に観たサンドラ・ブロックさんの、思わず親近感を持ってしまう存在感とかですかね。もちろんジョージ・クルーニーさんも素晴らしかったですが。


『パシフィック・リム』

パシフィック・リム [Blu-ray]/ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント

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これは敬愛する高寺重徳プロデューサー含む日本の特撮関係者がこぞって絶賛しているのを見て、さすがに映画館に行かねば・・・と思ったまま公開中に間に合わなかった因縁の作品。これももちろん大画面で観るべき作品でした(『2』こそは!)。劇中に溢れている日本へのリスペクトがとても嬉しく、菊地凛子さんも素晴らしいですね。世代的に円谷プロ作品、大映作品などのいわゆる巨大怪獣ものに疎いのですが、本作の怪獣描写(日本の特撮人が思い描いて、予算の関係でできなかったけど、本当はこんな絵が撮りたかったという絵)を観て、逆に元ネタの日本の怪獣映画を楽しむヒントが見つかった気分でした。『エヴァンゲリオン』を思わせる要素もいくつかありましたが、ここでこんな高いレベルで映像化できちゃうと、ハリウッド版『エヴァ』はハードルが上がっちゃって大変だろうなと要らぬ心配をしてしまいました(笑)。
放送日:1984年5月11日(金)19:30~20:00 テレビ朝日
演出:辻 理
脚本:上原正三
不思議獣:パスパス


「民族の心を征服するには、まず言葉を征服する必要がある。」(クビライ)

宇宙刑事シャイダー Vol.2 [DVD]/東映ビデオ

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ものがたり:
夜間パトロール中の大は、パジャマ姿で自転車に乗り、宙を舞う子供達に遭遇。後を追い高山家を訪ねるものの両親に追い返されるが、やはり子供達はフーマに催眠操作されていた。次第に珍獣語を話すようになった子供達に両親も怯え、大に助けを求める。

雑感・おすすめポイント:
文化の側面から若者達を操ろうとした前回に続き、まず自分達の言語を覚えさせてから洗脳しようという、なかなかに鋭いフーマの作戦がユニークです。序盤のスピルバーグ的な空飛ぶ自転車や、洗脳された子供達が大の目を盗んで勝手にジープを運転する、今では放送できないであろうスリリングなシーンなど、絵のインパクトで魅せてくれます。そのままジープのアクションに移り、オープニングテーマでおなじみのジープ襲撃映像が使われるのですが、このシーンを想定して撮影されたのか、上手く使い回したのかどっちなんでしょうか(笑)。

早々に焼結(変身)したり、後半のバトルシーンが若干長かったり、大人目線で見ると少し間延び感もありますが、バトルこそが子供達の観たいシーンですから、致し方ないところですね。

高山家の子供達が「珍獣語」を学校に広めていることを知り、再び高山家を訪ねるも追い返された大は、大胆にもベランダから侵入!すごく目立つ位置に監視カメラを着けたのにはさすがに笑いましたが、84年、大らかな時代だったということで(笑)。

人間の言葉を忘れ、夜中に珍獣語で騒ぐ子供達の様子はなかなかにショッキング。

夜中に出現して子供達を異次元に誘うフーマを捕らえるため、巨大な着ぐるみの中に隠れて待つ大とアニーの姿は見た目にも楽しい。ここから、先述した「やや長めのバトルシーン」に突入してエンディングに向かうわけですが、いつもよりはドラマ性が薄い気もしますが、子供達が全編に絡んでバトルもたっぷりかつ、日常が崩壊する怖さも上手に描かれていて、子供番組としてはやはり高い完成度。

ラスト、子供達を優しく見送った後、アニーにサムズ・アップをする大の姿が眩しいです。この姿が何十年後かに、図らずもオダギリ・ジョーさん演じる五代雄介(『仮面ライダークウガ』)に受け継がれるという・・・こじつけですけど(笑)。でも平成仮面ライダーシリーズで「イケメンヒーロー俳優」人気が定着する何十年も前に頑張っていた円谷浩さんには、元祖イケメンヒーロー俳優の一人としてもっと評価されて欲しいものです。

THE仮面ライダーズ 天下への道編 [3.仮面ライダークウガ マイティフォーム(ポージングVe.../バンダイ

¥324
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放送日:1984年5月4日(金)19:30~20:00 テレビ朝日
演出:田中秀夫
脚本:上原正三
不思議獣:タムタム


「娘達は、親を忘れ、家を忘れ、勉強も忘れて、街をうろつき、地下道に寝転がり、少年少女の生活はメチャメチャになるでしょう。」(神官ポー)

宇宙刑事シャイダー Vol.2 [DVD]/東映ビデオ

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ものがたり:
メディア出演を拒否し小屋でライブ活動を行うアイドルグループ「青ガキ隊」が若者の間でブレイク。人気の加熱ぶりに異常を感じた大は調査を開始、背後にはやはりフーマの罠が潜んでいた・・・。

雑感・おすすめポイント:
社会風刺系の名編で、「メディアに露出せず、小屋で活動するアイドルグループ」(初期のAKB48のスタイルを何十年も前に先取りしていた、脚本・上原正三先生の先見の明!)「反社会的内容の歌詞で世間の批判をあおる」→「TVで評論家にバッシングをさせることで、さらに若者の支持を得る」など、人間心理を知り尽くしたフーマの、というか神官ポーの作戦の見事さ!大の前に堂々と現れ、名前を名乗るポー、という初対面シーンも印象的。

ペットショップの前で青ガキ隊の曲を歌って盛り上がる、小次郎さん・陽子さんと子供達の前に通りかかる大。このような主人公と子供達との絡みの多さが宇宙刑事シリーズ全体の魅力ですが、逆に今の平成ライダーシリーズってこういう交流シーンがほとんどないのに小さな子供の支持があるのが不思議だなあ、とか思ったり。

ちなみに今回、メガネの恵子ちゃんが青ガキ隊のファンとしてフィーチャーされていますが、今秋発売予定の新作Vシネマ『宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION』にアニー役の森永奈緒美さんが奇跡のカムバック復活出演をして下さった背景には、恵子ちゃんを演じた渡辺恭子さんが、引退した森永さんの現在の職場を訪ねたことがきっかけだったとか!ありがたすぎる!というかむしろ大人になった恵子ちゃんもカメオ出演して欲しかった位!
宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION 焼結版 [Blu-ray]/TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)

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今回大が、青ガキ隊人気を怪しむのが早かったのが若干「ゴルゴムの仕業か!」感がないとは言えませんが(笑)、まあ歌で洗脳するのはフーマのお家芸ですから、念には念を入れる姿勢はさすがです。

S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーBLACK/バンダイ

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面白いのはやっぱり、ワイドショーで教育評論家に青ガキ隊批判をさせ、世間の批判を煽り、それが逆に若者達の支持を加熱させるというやり口の見事さ。こういう説得力のある話運びは上原正三先生の魅力が爆発してる部分ですね。

青ガキ隊の乗る(つまりはフーマの)宣伝カーを、大とアニーの車が両サイドから追い詰め、停車した宣伝カーにゆっくりと歩み寄る2人、臨戦体制のフーマ一味、の緊迫感!これは名シーン!

コンサート中の青ガキ隊に、会場の天井から登場してスポットを当てる大とアニーもカッコ良いです。変身後のバトルシーンも、アニーに銃(ビデオビームガン)を投げ渡す→狙撃してから、またシャイダーに投げ返す→空中でキャッチして狙撃、の鮮やかなチームプレイに惚れ惚れ・・・。

あとは不思議獣タムタムのモチーフを活かして、不思議時空のシーンではロックバンド風の兵士達と戦ったり、巨大は打楽器に攻撃されたり、当時なりにバトルシーンがマンネリにならない工夫は見られるので・・・擁護したい気持ち(笑)。(当時大学生だった東映入社前の高寺重徳プロデューサーが、バンク多用の『宇宙刑事』シリーズを観て嘆かわしく感じていた、というエピソードを受けての発言(名著『語ろう!クウガ・アギト・龍騎』参照))

語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】/カンゼン

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ラストの、フーマの洗脳から解かれた青ガキ隊を「可愛い」と褒めて大の焼きもち的な(?)反応を楽しむアニーが可愛いです。あー、やっぱ最高だわ『シャイダー』。話自体の目の付け所のシャープさと、それをあくまで最終的には、明るく爽やかなヒーロー番組としてまとめ上げる大らかさ。カッコいい『ギャバン』、熱く盛り上がる『シャリバン』とも異なる、作劇が面白い『シャイダー』というか。三部作としてのそれぞれ違った個性も素敵だな、と思った回でした。

GOLDEN☆BEST/シブがき隊/ソニー・ミュージックハウス

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