放送日:1984年5月4日(金)19:30~20:00 テレビ朝日
演出:田中秀夫
脚本:上原正三
不思議獣:タムタム


「娘達は、親を忘れ、家を忘れ、勉強も忘れて、街をうろつき、地下道に寝転がり、少年少女の生活はメチャメチャになるでしょう。」(神官ポー)

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ものがたり:
メディア出演を拒否し小屋でライブ活動を行うアイドルグループ「青ガキ隊」が若者の間でブレイク。人気の加熱ぶりに異常を感じた大は調査を開始、背後にはやはりフーマの罠が潜んでいた・・・。

雑感・おすすめポイント:
社会風刺系の名編で、「メディアに露出せず、小屋で活動するアイドルグループ」(初期のAKB48のスタイルを何十年も前に先取りしていた、脚本・上原正三先生の先見の明!)「反社会的内容の歌詞で世間の批判をあおる」→「TVで評論家にバッシングをさせることで、さらに若者の支持を得る」など、人間心理を知り尽くしたフーマの、というか神官ポーの作戦の見事さ!大の前に堂々と現れ、名前を名乗るポー、という初対面シーンも印象的。

ペットショップの前で青ガキ隊の曲を歌って盛り上がる、小次郎さん・陽子さんと子供達の前に通りかかる大。このような主人公と子供達との絡みの多さが宇宙刑事シリーズ全体の魅力ですが、逆に今の平成ライダーシリーズってこういう交流シーンがほとんどないのに小さな子供の支持があるのが不思議だなあ、とか思ったり。

ちなみに今回、メガネの恵子ちゃんが青ガキ隊のファンとしてフィーチャーされていますが、今秋発売予定の新作Vシネマ『宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION』にアニー役の森永奈緒美さんが奇跡のカムバック復活出演をして下さった背景には、恵子ちゃんを演じた渡辺恭子さんが、引退した森永さんの現在の職場を訪ねたことがきっかけだったとか!ありがたすぎる!というかむしろ大人になった恵子ちゃんもカメオ出演して欲しかった位!
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今回大が、青ガキ隊人気を怪しむのが早かったのが若干「ゴルゴムの仕業か!」感がないとは言えませんが(笑)、まあ歌で洗脳するのはフーマのお家芸ですから、念には念を入れる姿勢はさすがです。

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面白いのはやっぱり、ワイドショーで教育評論家に青ガキ隊批判をさせ、世間の批判を煽り、それが逆に若者達の支持を加熱させるというやり口の見事さ。こういう説得力のある話運びは上原正三先生の魅力が爆発してる部分ですね。

青ガキ隊の乗る(つまりはフーマの)宣伝カーを、大とアニーの車が両サイドから追い詰め、停車した宣伝カーにゆっくりと歩み寄る2人、臨戦体制のフーマ一味、の緊迫感!これは名シーン!

コンサート中の青ガキ隊に、会場の天井から登場してスポットを当てる大とアニーもカッコ良いです。変身後のバトルシーンも、アニーに銃(ビデオビームガン)を投げ渡す→狙撃してから、またシャイダーに投げ返す→空中でキャッチして狙撃、の鮮やかなチームプレイに惚れ惚れ・・・。

あとは不思議獣タムタムのモチーフを活かして、不思議時空のシーンではロックバンド風の兵士達と戦ったり、巨大は打楽器に攻撃されたり、当時なりにバトルシーンがマンネリにならない工夫は見られるので・・・擁護したい気持ち(笑)。(当時大学生だった東映入社前の高寺重徳プロデューサーが、バンク多用の『宇宙刑事』シリーズを観て嘆かわしく感じていた、というエピソードを受けての発言(名著『語ろう!クウガ・アギト・龍騎』参照))

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ラストの、フーマの洗脳から解かれた青ガキ隊を「可愛い」と褒めて大の焼きもち的な(?)反応を楽しむアニーが可愛いです。あー、やっぱ最高だわ『シャイダー』。話自体の目の付け所のシャープさと、それをあくまで最終的には、明るく爽やかなヒーロー番組としてまとめ上げる大らかさ。カッコいい『ギャバン』、熱く盛り上がる『シャリバン』とも異なる、作劇が面白い『シャイダー』というか。三部作としてのそれぞれ違った個性も素敵だな、と思った回でした。

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