筑波山(876m)は茨城県を代表する
名峰である。深田久弥の日本百名山
でも〝アンダー1500m”の標高で、
2座挙げたうちの一つ、というより
一番標高が低いのが筑波山。
(もうひとつは薩摩富士の愛称を持つ
開聞岳、924m)
筑波山は古来から地元の人々に愛され
てきた歴史があり、それが百名山選定
の大きな理由であった、と深田は書いて
いる。奈良時代の「常陸風土記」には
すでにその記載があったそうだ。
インターから国道6号線を北上し、
恋瀬川を渡ったあたりから見る
筑波山のかたちが一番好きだ↓。
ところで
秋の田の 仮庵(かりほ)の庵(いほ)の
苫(とま)をあらみ
わが衣手(ころもで)は 露にぬれつつ
高1で暗記させられた百人一首のトップは
こんな歌であったなあ、と刈った田んぼ
を見て思い出す(40年経っても覚えている)。
しかし「刈穂」だと思っていたら、「仮庵」
であった。サウンドで暗記すると、
こんな勘違いもある。
作者は天智天皇、蘇我入鹿を討った
中大兄皇子、その人の作であった。
双耳峰の稜線が割愛され、キリリと
引き締まって見える筑波山。
ギリシャ彫刻のコントラポストの技法、
ともいうべき、片方に重心がかかって
いる感じがよい。
同じようなところから近代の日本画の
巨匠・横山大観も筑波山を描いている。
送電線が描かれていないのが良い。
横山大観「筑波山」(茨城県近代美術館蔵)
土浦市街から見る筑波山はこれ↓。
頂上稜線が横広でやや間延びした
感じで締りに欠ける。