読書㉟ 『一球の記憶』 (宇都宮ミゲル著、朝日新聞出版) | そういえば・・・

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橋本商工株式会社の社長のブログです

ラジオでの書評に興味を惹かれ、

購入は早かったが、忙しさと他の読書に

かまけてほったらかしにしていた本書を

最近読んだ。

 

 

 

 

簡潔にまとまったインタビュー集である。

対象者への尊敬をひしひしと感じさせられる、

とてもいい本でした。

面白いと同時に、なにか懐かしい話でもあった。

著者と見ている景色(世代)が近いな、

と思っていたら2つ年下でした。

 

 

インタビューされた37人は、わたしが

少年野球を始めたころの巨人V9戦士、

そしてそのV9巨人に挑んだパリーグの

"伝説”の名選手たち、ポストON時代の

レジェンドたちだ。

 

V9巨人の河埜和正、柳田真宏、

阪急の山田久志、福本豊、山口高志、

ロッテの村田兆治など、その話には

興味が尽きない。

ところで阪急のユニフォームの背番号

のフォント。なにか隅が丸っこくて

可愛い感じでしたね。

 

 

また現役当時は知らなかった選手の話

にもいい意味で驚かされる。

柏原純一(南海→日本ハム)、

竹之内雅史(西鉄→・・・→阪神)、

栗橋茂(近鉄)の話はユニーク過ぎ。

著者はよくこんな選手を知って

いたものだ、と舌を巻く

(だから「プロ」なんですけど)。

 

 

欲を言えば、ここまでインタビュー

されるのであれば、個人的にマルカーノ

(阪急)、シピン(大洋)ら、外人選手も

入れて欲しかった。あとリー兄弟も。

彼らが何を考えていたのか。日本選手は

「求道」するが、ガイジンはやっぱり

"make money"するためにわざわざ

日本でプレーしていたわけで。

(日本シリーズでの)マルカーノの目の下の

(太陽光線の反射を防ぐ)墨が思い出深い。

 

 

昭和のプロ野球はON(王 長嶋)という

不動の太陽が中心にあって、その周りを

大小様々な星がいろいろな軌道で回って

いた、そんな時代であった。

そして37人のそれぞれのこだわりと

矜持、いいかえると強烈な「職人気質」

がぶつかり、火花を散らしていた、

それが昭和のプロ野球であった。

 

 

自分自身を「アスリート」と呼ぶ昨今

(のスマートさ)とは対照的な、

「勝負に勝つ」ために、武骨に研鑽と

研究を重ねた一匹狼たちの熱い時代の話。

 

野球好きは読むべし。

50オーバーはぜひ読んだ方が良い。