『ルワンダ中央銀行総裁日記』
NHKでこの本を紹介していた。
1965年、日銀マンであった服部氏が国際通貨基金の
要請を受けて、アフリカ中央やや東部のルワンダという
最貧国の中央銀行総裁に就任し、彼の国の金融や
経済、国際収支を八面六臂の活躍で立てなおすという
話しで、今、若者に大いに読まれているそう。
ルワンダと言えばフツ族ツチ族のあそこですか、
となるわけだが、服部氏の物語はそれよりも
はるか以前の話だ。
知らない本であった。50年前の初版なのに読み継がれて
いる本。なんだか気になったので買ってみた。
1972年6月25日初版
⇒ 1994年8月30日18版
2009年11月25日増補版初版
⇒ 2021年4月10日増補版12版
合わせ技で30版という、息の長いロングセラーです。
銀行家の常なのだろう、数字に明るい。
人間は嘘をつくが、数字は嘘をつかない。
数字(現実)をベースに、(ルワンダの)常識をひっくり
返してゆくさまは、この本の読みどころである。
また服部氏は大正生まれでラバウルで終戦を迎える。
ラバウルと言えば最後まで米軍に占領されなかった、
旧日本海軍の最前線基地で、撃墜王として有名な
坂井三郎はじめ、歴戦のゼロ戦パイロットの猛者が
集まる一大根拠地である。そこに勤務。
(きっと)めちゃくちゃ肝の座っている人なのである。
文中、服部氏の(他者の)人物評価は明快で、決して
日和ったりはしない。いいものはいい、ダメなのはダメ。
ハッキリし過ぎていて、清々しさすら感じます。
様々な「数字」について考える時、足を運んで現場を見、
人に会って話を聞き、自分の頭で考えて理解する。
人任せにはしない。
重要なのは銀行家としての Principle を常に軸足にし、
臨機応変に物を考えることだ。そしてミッションは
ルワンダの市井の人がちゃんと食べていけるように
すること。
あっという間に読めました。読んでよかった本、
おすすめです。