読書㉕ 「先生と私」(佐藤優著 幻冬舎文庫) | そういえば・・・

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チョイ前に弟から借りていた、佐藤優氏の『15の夏』

(上下巻、幻冬舎文庫)を返した。

 

♪ 盗んだバイクで走りだす~行き先も解らぬまま~ ♫

これは「夜」の方で、『夏』はそんな盗難もどきとは全く

別物の、〝冒険"の話しだ。こんな高校生ってあり?

「栴檀は双葉より芳し」を地で行く自伝であった。

 

 

 

で、それ以前に刊行されていた『先生と私』を、

こちらの方は、自分で買って読んでみた。

漱石の『こころ』の第一章と同じタイトルの同書は

氏の中学時代の話だ。高校受験のために通った、

塾の講師達との、受験勉強を通じての先生・生徒の

関係をはるかに超えた、師弟的であり、濃密で

思想的なやり取りがメインの話となる。

また父親の考え方も氏に大きな影響を与え、

これも「先生」と呼ぶにふさわしい。

 

 

様々な先達の考え方や経験の良い部分を敏感に

感じ取り、理解し、自分の血と肉に変えられる、

そういった能力がとても秀でている。

そして素直だが、年長者に対し物怖じせず、

自分の意見をすることができることがすごい。

これは家庭環境によるところが大きいとみた。

 

 

本の読み方、読む順序など、中学生、高校生、

大学生といった若い方には示唆に富むことが

非常に多いであろう、良書である。

また中学生の氏に対し、〝先生"方がいろんな

言い方で、大学の付属高校への進学ではなく、

県立高校への進学を勧めるあたりは、この本の

印象的な部分である。

 

「高校時代に勉強することはその後の人生でも

役立つので、大学受験の経験はした方が良い」

 

 

『先生と私』は、とかくAO入試とか、推薦に走り

がちな昨今の安易な風潮と一線を大いに画す、

大人と子供が歴然と違った、45年前の良質な

教育の話であった。

 

 

おまけとして高校入学前の春休みを利用し

北海道への一人旅を実行する。これは

高校一年の夏休みを描いた、『15の夏』の

冒険のための予行演習として実施された。

その工程が克明に記録され、氏の几帳面な

ジャーナリストぶりが読み取れる。