毎日ではないが営業に出かけるときには運転中、ラジオを聞いています。
わたしは営業マンにはAMラジオを聞くことを勧めている。単に昔から自分が聴いて
いるから、というのが大きな理由だが、FMではへんちくりんな英語交じりのトークに
オシャレな音楽、という先入観も手伝い、やっぱり営業の基本は話術。それを聞き
ながら学ぶのならAMである。
夏の午前中といえばNHK・AMの『夏休み子供科学電話相談』が好きだ。
朝8:00~11:50と、おおよそ4時間近くの番組で、8月中はずっとやっていた。
さすがに全部に付き合うことはできないが、こないだも車の移動中に楽しませてもらった。
印象に残った質問①
『家族でよく車に乗るのですが、どうして月はずっと
くっついてくるのですか?』 (5歳の男の子)
この「くっついてくる」、という表現がいたく気に入った。大人になるとまず考えつかない、
落語のような表現だ。この質問に宇宙の研究をしている女性の科学者がきちんと
5歳児にもわかる言い回しで回答するところが聴きどころであった。
質問②
『自分で自分の体をくすぐるとくすぐったくないのですが、
他人(ひと)がくすぐるとくすぐったくなるのはなぜですか?』
(男の子)
わたしはこんなことを人生で考えたことがなかったので、なるほど!と(運転中の)
膝を打った。この質問に対して、その道の専門の科学者の先生が「足の裏を筆で
(自分で/他人が)くすぐる装置」で実験したどこかの国の科学者の話しから人間の脳の
メカニズムに展開し、結果「人間の脳には自分の体の動きから、その先の結果を予測
することができる機能があり、そのため自分で自分のことをくすぐってもくすぐったくない。
一方、他人がやるとくすぐったいのは、この先どうなるか分からないという、自分では
予測することができないこと、これ(予測の出来なさ)がくすぐったさである」と、さらに
ネズミでの実験も引き合いにだして説明していた。
子供に「わかったかなあ?」と同意を迫る科学者氏に、掟破りなこのお子さんは
「ぜんぜん、わかんない!」
と、なかなか予定調和にならない奔放ぶりで、科学者氏とアナウンサーをあわて
させる。聴いているとわかることだが、大抵のお子さんがたぶん理解できていない
ことでも「わかった」と、忖度して流されてしまう中、しっかりと自分の意見を表明
できることに感心した。
このあたりのライブ感は、某局の24時間テレビとは真逆な真剣勝負だ。最後に
科学者氏が「ごめんね」と子供に謝っていたのが微笑ましいというか、印象的であった。
無邪気な子供の質問に言葉を選びながら、わかってもらおうとする大人の努力。
専門用語を使えば簡単な説明が、おそろしくまどろっこしい説明となる歯がゆさ。
日本の夏の風物詩である。