私が沖縄に住んでいた時代、
友人が毎月一度、素敵な会を催して下さっていた。

そこには実に個性的でユニークな人ばかりがあつまるので、
私たちは、その会を「サロンド・シルクロード」と呼んでいた。

なぜなら、知と感性の東西交流のような会で、
世界から宇宙、見えない世界まで、
活発にそれぞれの経験や意見を交わしていて、
お料理上手な友人の沖縄料理に舌鼓をうっていたのだから。

その中でも、ひときわ輝きを放つ方がいらした。

琉球大学法科大学院教授で、
裁判官だった稲葉耶季(いなばやすえ)先生だ。

聞くところによると、ご自身はほとんど何も所有せず、
インド・ネパールの子どもたちの為に寄付してしまっているらしい。
…!!

最初、伺った時は衝撃的だったが、
幾度かお会いしているうちに、
一筋縄ではなかったであろう人生の慟哭を
みじんとも感じさせず、
ただただ、淡々と、
すべてを包みこむかのような慈悲の心と、
透明でどこまでも貫き通す強い意思に触れた。

ああ、このような方なら、
こういう生き方になられるのだなぁ
と妙に納得したことを覚えている。

そんな出逢いの中で、

「いのちは永遠の旅路の中にいる。
生まれることも死ぬこともない。
ただ、
今、ある のよね。
だから、人は本当の意味で
死ぬなんてことはできないの。
通過するだけ。
死は新たなる誕生の始まりよね」

というようなことをおっしゃっていて、
このような死生観の中で過ごされている
現役の大学院の先生に、
教わる学生は、
なんと幸せなことだろうと思ったものだ。

その後、沖縄を離れて、しばらく音信不通だったが、
ある時、東京でアーシングをしている最中に、ふと、

「人は食べ物のみで生きているのではない。
人が生きているのはそのうちにある光である。
それをプラーナという。
プラーナの本質―それは愛である」

という言葉がポーンと湧き上がって、
同時に、それを宣言している光景が浮かんでしまったのだ。
その時に、浮かんだ、宣言文を唱えている方が、
稲葉先生のお姿だったのだ。

久々なので、
連絡するにもちょっと気恥ずかしいなぁと
思ってしまった自我を軽々と超えて、

ほどなく、同時に浮かんでいた方、
秋山義胤先生にお会いするために、
先生の事務所のサロンにお伺いすると、
ちゃーんと、バッタリと、(参った!)
再会できてしまった稲葉耶季先生。
(今思えば、その時、「黎明」著者の
葦原瑞穂先生もいらしていた)

…というわけで、
とんとん拍子に話が進み、
9か月後には、

「プラーナライフサミットIN OSAKA」が、
国際会議場の特別会議場にて、
本当に開催されたのだった。

尊敬する素晴らしい友人たち―、
秋山弁護士、森美智代先生、
稲葉元裁判官、滝沢泰平氏、
名城妙子さん(クリスタルボール)、
そして、
プラーナライフに関心を持つ700名の仲間と共に、

人間本来のあり方、
―そう、
人の本質は光であり、愛であることを、
それぞれの生き方を通して、
内なる心で再確認していく会だったように思う。

長くなってしまったけれど、
ここからが本題。

もうご存知の方もいらっしゃるかもしれないけれど、
実は、その稲葉先生が今月、1月14日に光に戻られた。

御病気で療養中だったというが、
近しい人でさえ、ほとんど知らなかったという。

そして、18日に、近親者だけの、
葬儀をされたということなのだが、
そこにいかれた方からの話によると、
もう、なんとも稲葉先生らしいというか…、
温かくて、大きくて、涙が出て来る。

先生の遺言により、
葬儀の際のドレスコードもあったそうで。

服装は黒以外。できれば白で。

お線香もご焼香もない葬儀会場は、
花々に包まれ、美しく華やいだ空気さえ漂っていたそう。
そこに眠られる先生のお姿は、
まさしく、即身仏のようだと誰もが思ったらしい。

そうか…即身仏か。
まさしく先生にぴったりの表現だ。

ふと、想いがどんどん確信に変わってくるのだけれど、
もともと、高次の仏の世界にいらした方が、
ディセンションしてこの世に舞い降りて、
きちんと人間的な御苦労を重ねながらも、
己の御魂の望みに従い、
皆に示して下さった、
いわばアセンテッドマスター
として来られた御方だったんじゃないかと、
ふとそんな想いがしてならないのだ。

稲葉先生が親族の方に伝えられた、
お別れの言葉が、
荼毘に伏される前に読まれたとのこと。


「地上に生を受け、

多くの経験する機会を与えてくださいました

大霊に,心から感謝申し上げます。

そして、地上においてご縁のありましたすべての方に、

地上,及び宇宙に存在する,ありとしあるものすべてに、

感謝申し上げます」 ・・・稲葉耶季

         
この言葉を託して、
穏やかに、軽やかに、
肉体を脱ぎ去って行かれたとのこと。

・・・。
・・・・・。

この地上を卒業する最後の最後まで、
たくさんのことを教えて下さった
稲葉先生。

心より、心より、感謝申し上げます。

皆の想いを代弁しつつ、
ここで今、声を挙げることをお許しください。

稲葉耶季先生。
先生が、生きざまそのものを通して、
教えて下さった、
有形無形の様々な教えを、
いのちのバトンとして受け取り、
わたくしたち、一人ひとり、
これからもなお一層精進して、
しっかり生きることを誓います。

       合掌  先生にお世話になったものより


以下、先生のことを
もっと知るための情報を集めてみました。
ご参考になれば幸いです。 

●稲葉先生の御逝去に関する記事はこちらです。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-649891.html

(「お別れ会」等の開催は、ありませんということです。
 どうぞ、お一人おひとりが、祈りの中で繋がってくださいませ)

●とても良き思い出となった、
「プラーナライフサミット」のDVD
実践プラーナライフ入門
―いのちが喜ぶ生き方へ―
(先生の御講演の映像もはいっております)
http://art-style.co.jp/category-270/dvd-ja.html



●稲葉先生の御著書
「食べない、死なない、争わない」 
稲葉耶季著(マキノ出版)
http://amzn.to/2Brgsjz

素晴らしい御本です。先生のバックボーンがよくわかります。
とりわけ、「今を生きる16の知恵」、実践したいです。

「今を生きる16の知恵」

1.川の水のように自然の流れに沿う
2.自分の中のかすかな息吹を感じる繊細さを持つ
3.他者と同じ息吹の中で生きていることを感じる
4.興味のあることに集中する
5.不安や恐怖を持たない
6.喜びをもって生きる
7.感謝をもって生きる
8.風や太陽や月や星の語りかけを感じる
9.木や草や花や石と語り合う
10.人が喜ぶことを考える
11.心を静かにする時間を持つ
12.物をへらしてさわやかな環境にする
13.天然の環境のもとで少量の食事をする
14.ゴミを出さない
15.金や物や地位が自分を幸せにすると考えない
16.他者の生き方を肯定する


長文になりました。
最後までお付き合い下さり、感謝致します。