「総理の誕生」という本を読了しました。少々前の本であるがゆえに、購入はできず、かといって、古本探しもなあ~と自分の価値観で図書館から借りて読みました。

 

 

 

 

 結果としては、改めて電子書籍で購入して手元に置こうと決めました。

 

 安倍総理の近くで取材をしていたサンケイの阿比留瑠比記者の本です。NHKの元記者岩田明子氏もはやく安倍総理の本を出してくれないかなと期待しています。

 

さて、内容ですが、安倍総理のご苦労が良くわかるものでした。同時に、一時は毎週木曜日にそばで活動を拝見している時期がありましたので、雰囲気がよくわかるシーンもありました。

 

 で、メディア等でよく批判されていた「官邸主導」「政治主導」の安倍総理の手法がいかに素晴らしかったかを理解できる会話があちこちにちりばめられている感じでした。

 

 また、国会議員の最も大事な外交防衛をいかに進めて国益にかなうようにするべきかを考えていらっしゃったことが良くわかるものでした。

 

 官邸の身近に仕えた方々も官房長官をはじめとして恵まれていたようです。今は、この本を読み終えたので、新たに、そばにいらした長谷川榮一氏と谷口智彦氏の本をそれぞれ購入し、読み始めました。

 

 実は、岸田総理の評価をある方に聞いた時に、ものすごく良いという評価をなさいました。その理由は、官僚の言うことをものすごくよく聞き、理解し、その通りにしようとしてくれる。とのことでした。

 

 はい、官僚の方から聞いた話なのですが。

 

 それって自分がないじゃん。というのが私の感想。そのあと河野太郎大臣の評価の話になった時に「かなり変わった人じゃない?」というと、いやいや「小泉総理も変人と言われていたでしょう。」。それでも総理になったし長く続いたようなあ~が私の感想。

 

 まあ、そういう意味じゃ、どうなんかなあ~という感じで、内閣総理大臣はそれぞれ個々に評価は違うし、所詮は床屋談義みたいな話はするつもりはありませんが、近くで接している方々の話は興味深いものです。

 

 そういう意味では、昭和の時代の官僚主導の国家運営は良かったのか悪かったのか?政治の役割は何だったのか?民主党政権が政治主導を言ってかなりドラスティックに、官僚の世界を変えましたが、傍目に見てもメチャクチャでした。

 

 しかし、その自民党政権の下野から政権復帰に至る過程で、民主党政権の幼稚で稚拙な政権運営に国民が愛想をつかし、自民党にとっても驕り多き政権運営から、民主党を反面教師とした強力な体制構築ができるようになったものと理解しています。

 

 その結果としてのもっとも素晴らしい体制としてあるものが、よく話題にもなる内閣人事局の設置だったと思います。

 

 私は、メディアがどう騒ごうと、当事者の国家公務員の該当者諸氏が何と言おうと、議院内閣制の我が国の制度の中では「必須アイテム」だと理解しております。

 

 この制度の布石を打ったのは皮肉にも民主党政権の以下の政権構想だったと思います。

 

 ●5原則

 

 1.官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ。

 

 2.政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ。 

 

 3.各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ。 

 

 4.タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆(きずな)の社会へ。 

 

 5.中央集権から、地域主権へ。

 

 ●5策

 

 1.政府に大臣、副大臣、政務官(以上、政務3役)、大臣補佐官など国会議員約100人を配置し、政務3役を中心に政治主導で政策を立案、調整、決定する。 

 

 2.各大臣は、各省の長としての役割と同時に、内閣の一員としての役割を重視する。「閣僚委員会」の活用により、閣僚を先頭に政治家自ら困難な課題を調整する。事務次官会議は廃止し、意思決定は政治家が行う。 

 

 3.官邸機能を強化し、首相直属の「国家戦略局」を設置し、官民の優秀な人材を結集して、新時代の国家ビジョンを創り、政治主導で予算の骨格を策定する。 

 

 4.事務次官・局長などの幹部人事は、政治主導の下で業績の評価に基づく新たな幹部人事制度を確立する。政府の幹部職員の行動規範を定める。 

 

 5.天下り、渡りのあっせんを全面的に禁止する。国民的な観点から、行政全般を見直す「行政刷新会議」を設置し、全ての予算や制度の精査を行い、無駄や不正を排除する。官・民、中央・地方の役割分担の見直し、整理を行う。国家行政組織法を改正し、省庁編成を機動的に行える体制を構築する。

 

 なかなか、従来の自民党政権下では成しえなかったことを、民主党が政権を取ったら、まずは旧態依然としたものを完璧なまでにぶち壊しました。

 

 このぶち壊し方が、積年の恨みつらみを「一気に晴らしてやるぜ!」的に、盲滅法ぶった切るようなおおよそ大人の対応ではないことをやらかしました。機能不全に陥るのは自明の理であったのですが、そんなこともお構いなしに、民主党政権こそ国民に寄り添う、国民の支持のある政権だから何をやっても良し。何を言っても良し。みたいな雰囲気があって、とにもかくにもメチャクチャでした。

 

 大衆迎合政権が総合調整、法治などができるはずもなく、すぐに、矛盾、欺瞞に満ち

あふれるものとなり、長続きするはずもなく短命に終わったのですが、次の政権においては、より良い、政治主導の体制構築がしやすい環境がうまれ、それを実行することにより、政権運営が「し」「易く」なったものと感じます。

 

 国家公務員幹部人事をドラスティックに奈落の底に落としたような民主党政権の政治主導が、自民党政権が再び始動する際に、揺り戻しの期待感をもたらし、うまい具合に新制度である内閣人事局設置でうまい具合の機能が出来上がった感がありました。

 

 しかし、昭和の時代の人事が染みついた人たちもいるわけで、その人たちの巻き返しが起きているのが岸田政権かなと思います。