専決処分を権利の行使と思っている首長が過去にいて地方自治法の改正まで行われたことがあります。

 

 そういうことも踏まえて、できる限り179条専決処分という行為は避けなければなりません。もう一度法律を見てみましょう。

 

 地方自治法を再度見てみましょう。

 第百七十九条 普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。ただし、第百六十二条の規定による副知事又は副市町村長の選任の同意及び第二百五十二条の二十の二第四項の規定による第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の総合区長の選任の同意については、この限りでない。

② 議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。

③ 前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。

④ 前項の場合において、条例の制定若しくは改廃又は予算に関する処置について承認を求める議案が否決されたときは、普通地方公共団体の長は、速やかに、当該処置に関して必要と認める措置を講ずるとともに、その旨を議会に報告しなければならない。

 

 

 第百十三条 普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。但し、第百十七条の規定による除斥のため半数に達しないとき、同一の事件につき再度招集してもなお半数に達しないとき、又は招集に応じても出席議員が定数を欠き議長において出席を催告してもなお半数に達しないとき若しくは半数に達してもその後半数に達しなくなつたときは、この限りでない。

 

 いろいろチェックしていくと、ダメですねどう言い訳しても。

 

 臨時議会を招集して、議会の判断に委ねないと。保育所廃止の条例を改正するのを専決処分なんて。市長の独裁ということになってしまいます。で、市長って万能だと思っている市長が結構多いんです。

 

 小金井市のホームページを見ると、随分前から色々動きをしており、議会に説明もできたし、タイミングを見て臨時議会を招集しても良かったし、もっと言えば定例会の議案でも良いくらいの動き方をしているのに、方針転換と称して時間がないように繕っているけど話にならない茶番だったようです。で、結局議会に見限られ、不承認。

 

 一方新市長は、公約であるという愚かな理由で撤回の条例提案。無理に決まっているでしょう。専決処分というその意味の深さがわかっていない。という感じです。

 

 専決処分不承認の意味は、首長の議会軽視の姿勢を問題視するもの、議案とすべきものの内容を議会にかけずに処分(実行)」をしてしまった行為に対する部分を問題視するもの、首長の一連の手続きの仕方を問題視するものなど、議員個々によって、その受け止め方はまちまちであろうし、心の底は「計り知れないもの」であるにも関わらず、処分した事案がダメだから元に戻すのは当たり前という単純な結論づけをした新市長もかなりの愚か者。

 

 いずれにしても、179条専決処分を行うにはそれ相当の理由があり、ありながらも専決処分をしなければ、住民生活に多大な影響が及ぶというような場合以外は行使すべきではないものです。

 

 前途多難ですね。この程度の知識しかなく、首長をするということはまずは無理でしょう。

 

 都政新報の解説を引用させていただきましょう。

 今後の市政に暗い影

 【解説】今回の専決撤回条例案の否決は、白井市政の今後に暗い影を落とすことになりそうだ。

 白井市長は市議時代に前市長を舌鋒鋭く追及したが、執行機関側に立場を変えた初の定例会では「今定例会中の議決が必要」と前市長と似た表現を用いたため、撤回条例案に賛成した市議が白井市長を揶揄する場面も見られた。市長与党がわずか1人の孤立無援に等しい状況下で、新庁舎整備などの政策ごとに主張が異なる市議会で多数派工作を進められるか。

 結論ありきではなく市民の声をくみ上げて政策に反映させるスタンスを示すプロセス重視型の市長としては、リーダーとしての手腕が問われる展開が続くことが予想される。これに加え、新たな逆風も吹いている。市は否決2日後の12月28日、小澤賢治副市長の同3日付での退任を発表。今月1日付で都総務局に帰任した。

 市は退任理由を明らかにしていないが、小澤氏は前市長の専決処分について議会から追及を受ける場面もあり、前市長の辞職後は職務代理者を務めるなど、負担の重さを指摘する声が上がっていた。都総務局によると、昨年4月の就任からわずか9カ月での都への帰任は極めて異例という。

 白井市長は市長選の主要公約に女性活躍を掲げており、当選翌日の就任会見では女性副市長の登用に意欲を示していた。だが、その1カ月後には定数2の副市長が空席という当初の思惑とは裏腹の事態を迎えた形だ。ある幹部は「議員時代に前市長を追及した経験を生かして苦境を乗り越えてほしい」と皮肉交じりに語った。(米)