マニュアル本を見てみましょう。

 

 

 長の欠席と一般質問について

 定例会において、一般質問が3日間予定されている。一般質問予定日の初日が終了した後、長から体調不良のため、明日の本会議を欠席したい旨の申出があった。長からの申出を受けて、急遽、議会運営委員会が開催され、一部の委員から長の欠席により一般質問は不可能だから、明日の本会議を休会とすべきという意見が出された。

長が本会議を欠席した場合、一般質問は不可能になるのか。

 

 回答

 長の本会議欠席により法的に一般質問が不可能となるわけではありません。確かに長は、当該普通地方公共団体の代表として、行財政運営を行っており、議会の一般質問において、当該普通地方公共団体の事務について答弁することが求められています。

しかし、長が本会議に出席する法上の義務はありますが、一般質問の答弁を長が必ずしなければならないとする法上のものはないほか、本議会の成立要件は、定数の半数以上の議員の出席であり、長の出席は本会議成立の要件ではありません。したがって、法上、長の欠席により一般質問が不可能ということにはなりません。

 

長谷川が問われた場合の回答

まず、この解釈、運用姿勢はどちらかというと法理からとらえる一側面だけの技術論にすぎません。これをもって開会可能というのは好ましいものではありません。

 

 地方自治法 

 第三節 招集及び会期

 第百一条 普通地方公共団体の議会は、普通地方公共団体の長がこれを招集する。

 ~後略~

 

 そもそも議会の招集は誰が行ったものか?招集した本人その者が招集した会議に出ないということはいかがなものか?ということから考えなければなりません。

 

 ですから、市長は議長に対して欠席しなければならない正当な事由を添えて申し入れをしなければなりません。(道義的責任)

 

 議長はそれらに基づいてどうすべきかを考えます。言ってみれば、日程上の軽重を含めた判断です。地方自治法上定められている議会の議決を必要とすべき事件に関する日程であれば、招集した政治的責任において「欠席並びに休会のお願い」を議長に申し入れるべきでしょうし、議長と長との十分なケーススタディが必要でしょう。

 

 また、職務遂行の可否を判断した時に、「本会議に出席すること」が不可能でありかつ会期中で主たる職務遂行だったとしたら、下記地方自治法の定めにより、職務代理を置きます。そのうえで議会対応をすることになります。これを執行機関内の決裁等を行う程度のとらえ方で、職務代行程の話ではないとして扱うには、二元代表制の議事機関としての対応、受け入れ姿勢は極めて政治的になりますから、議長は、会派の代表者への意見聴取や会議の開催と議会運営委員会の開会とを適宜開催し扱いの判断をすべきと解します。

 

 第百五十二条 普通地方公共団体の長に事故があるとき、又は長が欠けたときは、副知事又は副市町村長がその職務を代理する。この場合において副知事又は副市町村長が二人以上あるときは、あらかじめ当該普通地方公共団体の長が定めた順序、又はその定めがないときは席次の上下により、席次の上下が明らかでないときは年齢の多少により、年齢が同じであるときはくじにより定めた順序で、その職務を代理する。

 ② 副知事若しくは副市町村長にも事故があるとき若しくは副知事若しくは副市町村長も欠けたとき又は副知事若しくは副市町村長を置かない普通地方公共団体において当該普通地方公共団体の長に事故があるとき若しくは当該普通地方公共団体の長が欠けたときは、その補助機関である職員のうちから当該普通地方公共団体の長の指定する職員がその職務を代理する。

 ③ 前項の場合において、同項の規定により普通地方公共団体の長の職務を代理する者がないときは、その補助機関である職員のうちから当該普通地方公共団体の規則で定めた上席の職員がその職務を代理する。

 

 そのような内容を議長が受けて、執行機関が手続きを行った場合には、休会をせずに本会議を開くことが可能であると考えます。

 

 さて、議決とは関係のない一般質問などの場合は、これまた別の視点での考え方が存在します。

 

 それは下記のマニュアル本からの回答と併せて考えることが妥当でしょう。

 

 また、一般質問を通告する際に、質問者である議員が答弁希望者として長を指定することが考えられますが、答弁者を誰にするかは、最終的には長をはじめとする執行機関が決めますので、質問者が答弁者に長を指定していることをもって直ちに長の本会議出席が本会議成立の要件とはなりません。

 

 なお、長を始め本会議に説明員として出席する者は、正当な理由があるときは、本会議への出席義務が免除されますので、長の欠席が正当な理由に基づくものであるならば、長が欠席のときでも一般質問を行うことは可能と考えます。ただし、一般質問の内容が長しか答弁できないものであるならば、執行機関と議会が協議し、便宜的な措置として長が出席できる日まで、Q1のように本会議を休会とすることが考えられます。

 

 この回答部分は少々「?」となります。説明員と補助説明員の区別をしておりません。下記121条をご覧ください。法で定める説明員は、「普通地方公共団体の長、教育委員会の教育長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、公安委員会の委員長、労働委員会の委員、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会また、その出席者に関しては、書類で双方の動きがありますから、変更書面が議会に届かなければなりません。

 

  第121条普通地方公共団体の長、教育委員会の教育長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、公安委員会の委員長、労働委員会の委員、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けた者は、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。ただし、出席すべき日時に議場に出席できないことについて正当な理由がある場合において、その旨を議長に届け出たときは、この限りでない。

 

  2第102条の2第1項の議会の議長は、前項本文の規定により議場への出席を求めるに当たっては、普通地方公共団体の執行機関の事務に支障を及ぼすことのないよう配慮しなければならない。

 

 参考行政実例(年月日不明)

 府県会が理事者を指名しその出席を要求しても、何人を出席説明させるかは知事の任意であり、その指示に従うことを要しない。

 

 参考標準市議会会議規則

 第10条市の休日は、休会とする。(参考)

 2議事の都合その他必要があるときは、議会は、議決で休会とすることができる。

  3議長が特に必要があると認めるときは、休会の日でも会議を開くことができる。

地方自治法(昭和22年法律第66号。以下「法」という。)第114条第1項の規定による請求があった場合のほか、議会の議決があったときは、議長は、休会の日でも会議を開かなければならない。                                 

 

 ちょっと長くなりましたので、また次回。