中華人民共和国で、第20期中央委員会第1回全体会議が終わり、一連の政治の重要な行事が終わりました。隣国の政治体制の変革が進むのであろうかと思われる今回の一連の動きにはかなりな興味を持ちました。

 

 私が中華人民共和国に仕事の関係で駐在をして過ごした時期は、「まだ戦後間もない日本の様だね」と上司たちが言っておりました。

 

 そんな中国もあれよあれよと経済発展を遂げ、GDP世界2位というところまで来ました。私が中国にいたころは鄧小平氏による改革開放政策で、世界を圧倒する勢いのあった国でした。

 

 とは言え、14億の人民を「統治」していくのはそれはそれは並大抵のことではありません。私などは省自民政府の方の話を聞くのがせいぜい。市のレベルになるとそれなりの方々とも話をする機会はありましたが、国の方と話をするのは極めて限られた方とのおつきあいでした。

 

 おしゃべり好きの私は若さもあって、特段何も気にせず政治の話も含めいろいろと聞いたものでした。その後も数多くの中国人との付き合いの中で様々な話をしてきた経験でも、今回の一連の流れはある意味信じがたいくらいの驚きを伴うものでした。

 

 まだ、論評ができるような情報があるわけではありませんが、非常に興味深く、さらには今後中国国内で変なことが起きるのか?はたまた香港返還時の時のように外国への移住者が増えるのか?などなど気になることばかりです。

 

 今となってはもう古い考え方、捉え方なのかもしれませんが、私が中国に濃厚に接していた時期は、「太子党」「共青団(共産主義青年団)」「八老」「上海閥」などがそれぞれに争いながらも微妙なバランスの上に立っていた感じがしましたし、事実そうだったと思います。

 

 簡単に言えば、それぞれの勢力の人たちが、ドロドロの権力闘争を行いながら、その地位につき均衡・権衡を保っていたイメージでした。そしてその構図というか、主流派、反主流派のバランスが絶妙なまま続くものだと思っていたのですが、今回はさにあらず。のようなのです。

 

 まず、一連行事の前には、まことしやかに「習近平軟禁説」が一部に流れていました。ほどなく打ち消されましたが、北京市内に横断幕を掲げる事件がニュースで報道されました。

 

 国内の習近平主席の国家運営に対する人民の不満の蓄積の象徴のように思えました。

 

 それらに基づいて、中国外のSNSでの中国人民の嘆きが随分と散見され、あたかも習近平政権危うしの感じさえするようなものでした。しかし、あの国は違います。「民意」は関係ない国ですから。

 

 着々と布石を打っていたようですね。軟禁説が出ている頃、私は軟禁ではなく「周到なる人事」構想中だろうか?という思いもありまして、どうもそうだったのかな。と。

 

 今回の人事で、徹底的に「敵の排除」をしてしまった感があるのですが、私のみならず多くの中国ウオッチャーの危惧は、「反習近平派」の巻き返しだと思います。

 

 在外の友人知人の話を総合すると(国内の友人知人はさすがに本件で連絡は取りにくいので)、まず現役引退の一般人民の高齢者たちはほぼ興味なし。様々な経験をした世代「触らぬ神に祟りなし」的意識じゃないかという感想。

 

 現役世代は、新型コロナの様々な規制(ロックダウン等ゼロコロナ政策)が、大いに不満。彼ら・彼女らはいくらでも外(国)の情報を得る手段を持っている。このゼロコロナ政策によって、事業等が立ちいかなくなった人民の不満も大きい。

 

 ある程度(私はこのレベルが多分日本人とは桁違いと踏んでいる(笑))お金を持っている人民は、財産の海外避難への方法を腐心している。一方政府はそれを阻止することに躍起になっている。などによる、不満の増大。

 

 なので、「民意」は決して現政権支持ではない人も多い。感じ。

 

 とは言え、あの国で今まで生きてきた人々は「賢く生きる術」を知っているから、自分を中心に幸せな生活が営めることに最大限の事をしていく。だろうとの我々の仲間内の結論(笑)。です。

 

 が、もうすでに、一人っ子政策の子供たちが社会の中心になりつつある中国は、どういう舵取りをすればよいのか?私には想像さえもできません。中国の一人っ子の政策による一人っ子は、それはそれは日本人には想像でもできない一人っ子がたくさんいます。

 

 それに関連して結婚事情なども雑談の中で話題になるのですが、聞けば聞くほど、日本人では理解できない世界が存在しています。

 

 私が中国に住んでいた時代の政治家たちはそれはそれは立派でした。「『政』を『治める』とはこういうことか」、というものをたくさん見てきました。しかも、市のレベルまで確実に党中央の話が正確に伝わってくるという状況には本当に驚きましたが、それが中国でした。

 

 そのころに戻したいのが習近平国家主席なのでしょうかね?私は「ある程度の自由」や「豊かな生活」を知った人民があの頃に戻れと言われて戻れるのか?という疑問がものすごくあって整理が出来ないのです。