どこでもあるから良いわけではないのですが。なんとも合点の行かない話です。

 

 まずは都政新報の記事からです。

 

 相次ぐ公金の誤支給 予定外の膨大な作業発生

 葛飾区で私立認可保育所へ4年間にわたり、計5億1千万円もの補助金の誤支給が起きた問題では、補助金申請システムの計算式の設定を間違えた上、他の職員がチェックをせずに運用したことが原因だった。一方、他区でも同様に誤支給が相次いでおり、コロナ禍で給付金が増えたことも一因となっている。

 

 葛飾区は保育士不足を補うため、私立認可保育所がパート保育士を雇用した際に園児数などに応じて独自補助金制度を導入。園が申請しやすくするため、2018年度からはエクセルで計算式を作成したが、この際に設定を間違え、補助金の対象となる保育士の数が実際の約2倍にカウントされていた。計算式は作成した職員以外にチェックをせずに導入し、誤支給は4年間に及んだ。

 

 だが、この間、間違いに気づく機会もあったことが6月23日の区議会で分かった。18年度に4園から子育て支援課に「金額が多いのではないか」と指摘があり、対応した職員は当該園の保育士と児童数は確認したものの計算式の確認には至らず、係長と課長にも報告していなかったことが明らかになった。

 

 橋本主夫子育て支援課長は「職員が上司に報告すればチェック体制を取れたかもしれないが、(上司からの)声掛けが十分でなかったのかもしれない。組織として仕組みが機能していなかった」と釈明する。区は補助金がパート保育士の雇用に使われていたかを調査し、適正に使われていた場合は返還を求めない方向だ。

 

 同区の誤支給はこれだけではない。18年9月から21年度にかけて、経済的に就学が困難と認められる児童・生徒がいる世帯への「就学援助」の認定を誤り、認定外の146世帯に計1938万円を誤支給する問題が発生した。

 

 認定するためのシステム構築の際に、担当者が認定要件の一つとなる「児童扶養手当」について、受給者を対象者と勘違いしたことが原因だ。昨年8月、就学援助受給者からの問い合わせで発覚し、学務課は所得が受給の基準以上で就学援助の認定を受けている世帯を調べ直す作業に追われた。

 

 返金に向けては対象世帯に納入通知書を送付したが、6月27日時点で回収額は78世帯・計638万8950円にとどまっている。羽田顕学務課長は「間違えたのは我々。定期的に粘り強くお願いし、返還を求めていく」と話す。

 

 誤支給を起こすと、点検や回収で予定外の膨大な作業が発生する。また仮に誤支給した税金を回収できなければ、区は債権を放棄し、税金は戻ってこない。葛飾区は相次ぐ誤支給を重く見て、6月に副区長名でチェック体制の構築や不適正な事案発生時に全庁での迅速な情報共有徹底を求める依命通達を出した。併せて、庁内全部署で作成した収入・支出に関わる計算式を総点検する予定だ。

 

 こうした誤支給は他区でも見られる。コロナ禍で給付件数と給付金が増えたことも一因だ。

 

 杉並区は昨年4月、離職などで住居を失った世帯向けに家賃相当額を支給する「住居確保給付金」について、50世帯の「月数」を「1カ月」とするところを「2カ月」と誤り、計264万円を誤って支給した。同区の住居確保給付金の申請はコロナ前の19年は年間十件程度だったが、20年は申請があった月数ベースで76倍に激増していた。

 

 区が業務を委託した社会福祉協議会だけでは処理ができなくなり、区職員も応援に入る中、ダブルチェックを怠ったために誤支給が発生した。ただ、給付金の支給先が不動産業など住居を管理する法人だったため、全額返金されたという。

 

 また江戸川区はコロナ禍で困窮世帯に10万円を支給する「住民税非課税世帯等への臨時特別給付金」を、課税免除の対象外だった外国人85人に対し、計850万円を誤支給。システムの不具合が原因で、既に海外へ出国した人を除き、ほぼ全員に謝罪とともに返金を依頼しているという。6月28日時点で10人から計100万円が返金された。

 

 中沢清人福祉推進課長は「誤支給した人の約8割は技能実習生で、『喜んだのに残念』と言われる。申し訳ない」と話し、分割返金にも応じる考えだ。

 

 こうした誤支給は不当利得となり、住民は返還の義務があるが、原因は自治体側にあるため、厳しく求めていくのは難しいのが現状だ。

 

 長谷川

 たぶん、たぶんなのですが、パソコン作業を一般事務の延長線上というか、書類作成の一部みたいに捉えて、仕上がりチェックなどを紙の意識でやっているせいだと思います。

 

 まあ、作成者限りでチェックしなかったのはそもそもの事務のあり方としては間違いですが、エクセルで計算式などを入れる場合は、チェックをする中で計算式を紙に書き出すべきでしょうね。かなりアナログな話ですが、アナログ層がまだ管理職に多い以上、万人がスキルの差がなくて読み、チェック可能な文字にして、最低でも設計書というか計算式を検証しない限り仕事をしたことにはならないと思います。

 

 というか、私は、いまどきの民間企業のいわゆるパソコン利用の実態がわかりませんが、危ない話はよく聞きます。

 

 中途採用者の面接時に、パソコン使用可かどうか確認したりマイクロソフトオフィスの使用が可能かどうかなどを聞いて、問題ないような回答だから採用したら、そのレベルは初心者というか、初めて触るに等しい人が結構いるとか。以前の職場で出来上がっているエクセルのシートにデータを入力するだけの仕事をしていた人が、「エクセルできます!」ってたまらないよ~という経営者の方の話を何度か聞きました。

 

 私も現役の議員の時、電子データをもらうことがよくあったのですが、ファイルを開いてみると「なんでこういう造り込みなの?」ってものがたくさんあるのです。

 

 何を申し上げたいのかというと、少なくとも外部とのやり取りをするためのルールというか、基準が必要ですね。

 

 エクセルで「文書」を作るのも良いのですが、いやいや、これはエクセルではないでしょう。ってものや、ちょっと違うな。というちょっと違うものがあります。

 

 これは民間企業でも同じような話も聞きますが、パソコンの基本操作そのものの利用基準が明確でないためだと思うのです。

 

 結果だけを重視しているととんでもないことがたくさん起きると思います。

 

 他人が作成したエクセルのシートの計算式を読みながら全体像を把握できる人ばかりであれば何ら問題はありませんが、「ここに」「このデータ(数字)」を「入力」すれば「ここの数字が出てくる」としか思っていない人には、触らせるべきではないのではないかとさえ思う時があります。というのが、「ここの数字が出てくる」で、その担当が終わりでも、「ここに出てきた数字」が「別シートに反映される」ようになっていたら、基本操作の部分が違ってくると思うのです。

 

 表に見えている数字だけを消したいのに、裏側にある計算式も何もかも「知らないで」消してしまうことだってあるわけです。

 

 だから、私は市役所の一般事務職員がエクセルでデータ処理するための表の作成などを行うべきではないと思います。職員個々が自己の職務を遂行するにあたって、自己完結型で作成する分には問題ないと思いますが、個人の手を離れるものは、あくまでも表に出てくる「文字」だけにすべきです。

 

 何が何だかわからない人たちが決裁の印鑑を押して、事故が起きてこの記事にあるように、遡り検証作業などしたら、時間とお金の無駄使いに過ぎません。

 

 私は、業務効率化のための電子化は、やりたいことと将来拡張をしっかり整理して外部事業者にしっかりまかせて出来上がったもので事務の効率化を進めるべきだと思います。お金をケチって内職したら、結局は高いものにつきますし、本来業務が滞って、エクセルごときもので使うのは、職務専念(笑)から外れるのでは(笑)。と思います。