以前のブログにも書かせていただきましたが、都政新報の記事の続報が出ましたので、考えてみたいと思います。

 

 都政新報6月28日版

 村木市長が市議会を解散

 特養巡る不信任決議受け

 あきる野市の特養ホームの誘致を巡って同市議会が村木英幸市長の不信任決議を可決したことを受け、村木市長は23日、市議会を解散した。都内での不信任に伴う議会解散は1999年の足立区以来、23年ぶり。解散に伴う市議選(定数21)は7月17日に告示、24日に投開票される。

 

=3面に関係記事

 

 この日の市議会第2回定例会最終本会議終了後、村木市長が中嶋博幸議長を訪れ、解散を通知した。村木市長は会見で、「公約に掲げた高齢者福祉施策が議会の理解を得られず、解散を決めた」と説明。中嶋議長は「自ら辞職して市民の審判を受けることが望まれているにもかかわらず、解散は残念」と語った。

 

 地方自治法の規定では、市議選後の議会で再度不信任決議が可決された場合、市長は失職となる。

 

 長谷川

 私は、この議長の仰る通りだと思います。以下の記事を読んでいっても、それぞれに書かれているように市長はいったい何を考えているのかわかりません。昨年の6月に市議会議員選挙が行われており、どう考えても、今回選挙を行っても市議選は大勢に変化はないだろうと思われる選挙結果でした。しかも、前回も書きましたしこの記事にもあるように、市長不信任決議は、21人中20人が決議賛成ですから、その大勢が再び当選して戻ってくる可能性が高く、一度不信任可決した議会が編成されれば当然のごとく再度不信任決議が行われるであろうことは明白です。

 

 それに対応するために、市長側が、自身の信念に基づき、自身の再度の不信任決議に対応するために自信と考えを一にする候補者を不信任否決できるだけの当選者を確保するための手当てもしないとなると、どうするつもりなんだ。ということになります。

 

 解散前の議会側の議員は、下記記事にもあるような選挙費用約5,600万円を使うということと、その後に容易に想像できる市長選挙費用約3,000万円を費やすことに、民主主義のコストというのはあまりにもバカげた話です。

 

 税金を使った政争というにはあまりにも住民を無視した愚かな行いだと思います。

 

 さらに言えば、前回のブログにも書きましたし、今回も記事になっているのですが市長側が「執行権に抵触する」と言っているようですが「何を言ってるんだ」って感じですね。念のため地方自治法を読んでみましたが、ありえないですね(笑)。誰がささやいたか知りませんが罪作りな人がいたものです。あるいは市長自らがそうお考えであれば、やはり議会も言っているように「資質に欠ける」んでしょうねえ~。

 

 まあ議会本会議の中継の録画を見ましたが、もはやその任に非ずの発言ばかりでしたね。

 

 しかし、この後の動きで想定できることの市長の進退ですが、立候補するかしないかのどちらかですが、これで立候補をしないとなると「人としての無責任さ」と公人としての人間性を疑うような振る舞いとなります。

 

 立候補したらまあ、議会側は何が何でも勝てる候補の一本化を図るでしょうから、結果は見えているような気がします。とはいえ政治の世界一寸先は闇ですし、へんな権力争いが生まれれば、漁夫の利というか濡れ手であ粟というか、少々違うのですが、そんな感じの最悪のシナリオも想定されてしまって、そこは議会側が一致して市長候補を決定・擁立すべきでしょうね。

 

 そうでなければある意味異色の二元代表制の弊害が生まれるということになります。

 

 同紙3面

 泥沼対立 市民の審判へ

 あきる野市議会解散

 市長 「執行権に抵触の恐れ」

 議会「市長の資質に欠ける」

 

 あきる野市の村木英幸市長と市議会の泥沼の対立は23日、議会解散で新たな局面に移行した。村木市長は対立の発端となった特養ホームの誘致について、「市民の承認を得ている」と強調し、「(議会は)市長の執行権の侵害の可能性がある」と解散の正当性を主張。議会側は「村木市長の資質の欠如は明白で、それを市民に訴える選挙になる」と臨戦態勢だ。

 

 「地方自治法の規定に基づき議会を解散するため、通知します」―村木市長は市議会第2回定例会閉会後に議長室を訪れ、中嶋博幸議長(自民志清会)と増崎俊宏副議長(公明)に対し、解散通知の書面を読み上げた。村木市長は「解散」の部分でひときわ語気を強めて中嶋議長らを一瞥すると議長室を後にし、庁議室で記者会見に臨んだ。

 

 村木市長は会見で、市有地への特養ホーム誘致の意義を強調。「特養整備で都からの補助約2億5千万円が市の歳入となり、事業者からの賃料収入もある」と財政上の利点を挙げ、「こうした歳入を財源に、高齢者福祉の充実や介護人材の育成を進める」と説明した。

 

 その上で、議会解散に伴う市議選に向け、「高齢者福祉の推進と介護人材の育成に賛成か、市民に問いたい」と訴えた一方、特養誘致賛成派の擁立については「考えていない」と否定した。

 

 市議会の不信任決議では、条例で議決事件とされている特養誘致での市有地貸し付けについて、村木市長が「議案は出さない」と明言したことを「議会軽視で民主主義に反する」と指摘。21人中、与党議員を含む20人の賛成で可決された。

 

 これに関し、村木市長は「議会軽視というが、むしろ逆で、議会側が市長の執行権に抵触する可能性がある。市民からは議会が市長の特養誘致を妨害しているとの声もある」と議会側を批判。「特養誘致を盛り込んだ介護保険事業計画のパブリックコメントでは、約2千件の意見のうち賛成が多かった」として、議会への対決姿勢を鮮明に示した。

 

 一方、中嶋議長と不信任に賛成した議員の代表者らも別途会見を開き、村木市長に「ノー」を突き付けた。

 

 中嶋議長は「市長の暴走を唯一止められるのは議会」と二元代表制に言及した上で、「自ら直接市民の審判を受けるべきなのは明白。解散という決断は理解に苦しむ。村木市長が市長としての資質に欠くことは明らか」と憤りを隠さない。

 

 また、市長選で村木市長を支援した共産の田端あずみ代表は「議会の解散に道理はない。市長が特養整備を議会が妨害しているという構図にねじ曲げようとしていることは残念で、事実と全く異なると市民に伝える必要がある」と指摘。市長与党を標榜していた会派「明るい未来を創る会」の合川哲夫市議は「特養誘致自体には賛成だったが、市長には裏切られた」と失望をあらわにした。

 

 解散に伴う市議選は7月24日に投開票される。会見に出席した1人会派「くさしぎ」の辻淑子市議は「不信任決議の可決を知らない市民も多く、難しい選挙だが、市民に事実を伝えていく」と決意を表明。公明の増崎副議長は「法令順守を無視する村木市長のやり方を市民に理解してもらう場にしたい」と語った。

 

 解散の大義はどこに

 【解説】

 不信任決議を受けて首長が議会を解散した場合、その唯一の目的は、自身の正当性をアピールして議会に自身の「味方」を増やすことにある。だが、村木市長は特養誘致賛成派の大量擁立は行わない考えを示しており、「市民に特養の是非を訴える」とした解散の大義名分に疑問が浮かぶ。

 

 ある市幹部は「味方を増やさないのになぜ解散したのか。改選後の不信任再可決を防ぐのが難しい現状では、辞職してすぐに出直し選挙を戦うことと大差ないはずなのに」と首をかしげる。改選後の不信任決議は、議員定数21の3分の2となる14人以上の出席の上、その過半数の賛成で可決される。市長賛成派は現在1人で、不信任の再可決は濃厚と言わざるを得ない情勢だ。

 

 辞職した場合の出直し選挙と比べて、解散後の不信任再可決による市長選の日程が1カ月程度遅くなることから、その間に支持の拡大を狙ったとの見方もあるが、村木市長が出直し市長選に出馬するかは現時点で不透明だ。村木市長は「どんな結末になっても、最後まで市民に(特養誘致を)訴えていく」と意欲を示しつつ、出直し出馬には明言を避けた。別の市幹部は「市長選に出るのであれば、たとえ市長選の実施が決まっていなくても意向を示すことはできるはず。市長が何を考えているのか見当がつかない」と話し、市長と職員の溝の深さを感じさせた。

 

 他方で、解散に伴う市議選には多額の市税が投入される。市選挙管理委員会によると、昨年6月の市議選には予算ベースで5558万円の選挙経費が計上された。村木市長は「民主主義のためには必要な選挙」と私見を述べたが、改選後に不信任が再可決された場合、市長選の経費としてさらに約3千万円が必要だ。市民が「民主主義」のために支払う額として妥当なのかは、市議選でも議論の対象となる。

 

 村木市長は解散の大義を市議選の結果で示さなければならない。それができなければ、3年前の市長選で集めた市民の期待は行き場を失うことになるだろう。(米)