この連載記事を読んでいくつかのポイントで興味を持ちました。連載が続くようですので、引き続きで書かせていただきます。ところが前回、本来シリーズの5番目のものを(4)にしてしまいました。申し訳ございません。番号を入れ替えさせていただきました。

 

 このシリーズとは関係なく、先般ニュースで「国民皆歯科健診の実現」が取り上げられていました。「経済財政運営と改革の基本方針」・いわゆる骨太の方針に盛り込まれたということでした。

 

 ということは、この矢澤先生が書かれていることを含め、歯科健診の重要性を政府が意識し、予算づけをする大前提に定めたことを意味します。大変意義深いことだと思います。とはいえ、参議院議員選挙前ですから、まあ、様々な思惑もあるのかな?というところで止めておき、今日のテーマを考えてみたいと思います。

 

 都政新報より

 

 自治体政策のススメ

 ロ腔衛生保健と健康④

 元新宿区健康部参事矢澤正人

 

 誤嚥性肺炎予防と口腔ケア

 

 前回は生涯、自分の口で食事を摂るための連携づくりについて書きました。しかし、この問題には、要介護高齢者の死因の上位を占める誤嚥性肺炎の予防という大きな課題が含まれています。誤嚥性肺炎とは、食物や唾液などが気管に入ることによって起きる肺炎で、老化や脳梗塞などにより飲み込む機能が低下し、喀出力が衰えたことから起きやすくなります。また、口の中が細菌で汚れていたり、全身の免疫能が落ちていることが大きく影響します。

 

 この誤嚥性肺炎を予防するために、口腔ケアが重要であることが、さまざまな研究から明らかになりました。特に1999年に『ランセット』という世界的に権威ある医学雑誌に発表された米山武義らの研究は、高齢者施設で専門的な口腔ケアを実施することによって、肺炎の発症率や肺炎による死亡率が、実施しなかった方に比べて大幅に低くなっていることを報告し、日本発の研究として大変注目を集めました。

 

 このような研究成果をもとに今日、口腔ケアの重要性がさまざまな場面で強調されています。その際にも、医科と歯科の連携、また医療と介護の連携が大変重要であることが認識されてきています。特に、関係者間の顔の見える関係づくりは欠かすことができません。とともに、地域の住民に、口腔ケアの大切さを浸透させる施策が求められていると考えられます。さらに、こういった取り組みを地域で展開していくためには、社会資源、人的資源などの状況を十分に分析(地域診断)し、その地域に合った対策を進めていくことが必要です。

 

 これはほんの一例ですが、超高齢社会において、住み慣れた地域で生涯暮らすための地域包括ケアとは、このような一つひとつの連携体制を構築し、生きることを支えるさまざまな取り組みを進めていくまちづくりではないでしょうか。



 

 やざわ•まさと

 東京医科歯科大学大学院歯学研究科(予防歯科学)修了。歯学博士。新宿区健康部参事などを経て、医療法人永寿会陵北病院歯科勤務。日本在宅ケアアライアンス事務局次長。近著に『私の口腔保健史~保健所歯科医の歩んだ道~』。

 

 長谷川

 私は、若い頃からかなりの、もうご一緒する人に必ずたしなめられるくらい、早食いです。しか~し、何年か前から、家族や友人に別の言われ方をするようになりました。

 

 「嚥下障害じゃない?」「気をつけないと誤嚥性肺炎を起こすよ!!」です。なので、誤嚥性肺炎の怖さも意味も理解しているつもりです。

 

 そして日本の高齢者の多くの方々が「肺炎」が死因の高位を占め、それが誤嚥性肺炎によるものであることも伺っております。さらにいうとここに書かれているように、そのために嚥下力を保持、維持して誤嚥性肺炎を防止する取り組みも歯科医師の先生方によって行われていることを伺っております。

 

 この矢澤先生の連載を読み進めると、歯科健診の重要性や、歯科領域の高齢者対策がかなり重要であることがわかります。