この連載記事を読んでいくつかのポイントで興味を持ちました。連載が続くようですので、引き続きで書かせていただきます。

 

 都政新報より

 

 自治体政策のススメ

 都政新報令和4年4月8日号 

 ロ腔衛生保健と健康⑤

 元新宿区健康部参事矢澤正人

 

 かかりつけ歯科医が果たす役割

 

 前回まで8020運動や高齢者の食べること、肺炎などについて述べてきましたが、それを踏まえてかかりつけ歯科医の役割を考えてみたいと思います。

 

 私は住民の方を対象とした講演会に伺うと、必ず「かかりつけ歯科医をお持ちですか?」とお聞きします。なぜなら、かかりつけ歯科医を持つことは、生涯にわたる歯と口の健康を保つために大切だと思うからです。

 

 このかかりつけ歯科医については、「安全・安心な歯科医療の提供のみならず、医療・介護に係る幅広い知識と見識を備え、地域住民の生涯にわたる口腔機能の維持・向上をめざし、地域医療の一翼を担う者としてその責任を果たすことができる歯科医師」(日本歯科医師会)とされています。

 

 乳幼児期から成人、高齢期と、人生のさまざまなライフステージには、口腔機能の維持・向上のための歯科的な課題がそれぞれあります。例えば乳児期には、基本的な食生活の確立と歯みがき習慣の定着、フッ化物の活用などによって、むし歯のない健全な口腔と食べる機能を育てることが大切です。学齢期から成人期にかけては、咀嚼機能の健全な発達と、加えて歯周病対策などが必要となります。こういったライフステージに沿った歯と口の健康づくりに一番関われるのが、かかりつけ歯科医なのです。

 

 2016年の調査では、全国の10~70代の男女1万人のうち、かかりつけ歯科医を持つ人の割合は67%と全体の3分の2にとどまっています。

 

 生涯にわたって食べる機能を維持・向上させるためには今後、自治体における歯科健診事業などの取り組みを通して、国民の一人ひとりが、かかりつけ歯科医を持つことが今、求められていると思います。

 

 やざわ•まさと

 東京医科歯科大学大学院歯学研究科(予防歯科学)修了。歯学博士。新宿区健康部参事などを経て、医療法人永寿会陵北病院歯科勤務。日本在宅ケアアライアンス事務局次長。近著に『私の口腔保健史~保健所歯科医の歩んだ道~』。

 

 長谷川

 なるほどという感じです。正直申し上げて自分自身の感覚からしかものを申せませんが、直接的な異変が生じることが多い身体の多くの領域を担ってくださる医師の先生方のかかりつけの概念と、「歯」に特化したともいうべき歯科の医師の先生方のかかりつけの概念というか受け止め方って違うのかもしれません。

 

 いや、だからこそというか、このシリーズの執筆をなさっている先生のように、保健行政の中にしっかりと入っていて、発信あるいは広報・啓発等の活動が大切なのかなと感じますね。

 

 そういう意味では、船橋市はまだまだかなと思います。というか、中核市保健所の限界なのかもしれません。この記事を書かれている矢澤先生は「歯科医師として37年間にわたって都や特別区の保健所における公衆衛生行政に携わってきました。」とのことです。区保健所の人事と交流はどういうものか詳しくわかりませんが、東京都とその特別区である23区は一般市町村とは違う財政や人事がありますから一概に言えませんが、船橋市などの中核市における保健所は規模の限界、人材確保の限界などがあって、公衆衛生を俯瞰して見ていただけるような歯科医師の先生を採用できるかどうかとなるとなかなか難しいものだと思います。

 

 もっと言えば、今般のCOVID19で明確になったと思いますが、日本全国の地方公共団体における「保健所」は、あたかも行革の対象みたいになっており、なおかつ基本が「厚生労働省」と「都道府県」の行う業務が主体となっているところにさまざまな歪み綻びが見えた気がいたします。

 

 そのような中、中核市保健所における専門的知見の確保を考えたときには、外部に頼らざるを得ないと思います。

 

 第一義的には地域の歯科医師会の先生方にお世話になるというのが一番だと思いますが、ご自身の日常の診療がありながらの保健行政への関わりというのはなかなか難しいものだと思います。

 

 私も若い頃団体の仕事をお手伝いしたことがありますが、市のレベルでは事務員さんを雇えるか雇えないかくらいの規模にしかなり得ません。

 

 県の団体でも私の所属する団体は同類他団体と事務所を一緒にして、事務を執る方も兼務でした。

 

 国の団体になって初めて、独自の事務所を持ち、事務局機能もそれなりにもち事務をおこなっていたわけですが、なかなか会務運営というのは難しいものです。

 

 従って、金銭的、時間的に十分なものを用意して、市民の保健行政を考えていただく環境を整備する必要があります。

 

 次に考えられるのは学識経験者の方のご協力です。幸いにして、船橋市には東邦大学日本大学が関連するような大学としてキャンパスがあります。

 

 東邦大学は船橋市内のキャンパスは理学部や健康科学部の設置ようようですが、歴史のある医学系の大学ですし、日本大学は薬学部や理工学部が設置され、総合大学として松戸に歯学部もありますし、さらにお茶の水にも歯学部があります。

 

 当然両大学共に様々な分野のご専門の先生方がたくさんいらっしゃるはずです。

 

 さらに、船橋市は60万人を超える人口を擁する市です。当然ながら住民の中に、歯科領域、公衆衛生領域において専門的知見を有する先生がお住まいになっていることは明白です。

 

 やる気さえあれば、いくらでもご協力を願える先生方にお願いできる環境ではあるのです。

 

 船橋市民の皆様の歯科の領域の保健に関して、もう少し関心を持つべきではないかとこのシリーズの記事を読みながら気になっているところです。